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入部試験Ⅳ
その後、数人の吹奏楽部員に何度か話を聞いた俺たちは、教室棟一階へと下り、そして裏庭――教室棟を挟んで中庭と反対に位置する――へと向かっていた。
「まさか、あちこちにいる吹奏楽部員たちに桜井先輩の居場所を聞いて回るだなんてね。よくこんな方法を思いつくもんだよ、春樹は」
「そうだよね。私もようやく古川くんが何をしようとしているのかわかったきた」
「別に俺が思いついたわけじゃない」
「え、それってどういうこと?」
秋月が俺の顔を下からのぞき込んでくる。――顔が近い。少し気恥ずかしさを覚え、視線を前にやる。
「会えばわかる」