知ってる。
「おれ。今、走ってきたんだ。」
「知ってるよ?」
そう、いつも隣で見てきたんだから、知っている。
「毎日、お弁当食べてさ。」
「うん。」
だって、私が作っていたもの。
「美味しかった。」
「ありがとうw。どうしたの?いきなり。」
いつもは、言わないお礼。
何だか、おかしくて笑ってしまう。
「いや、今いわないとと思ってさ。」
「そう。」
「あのさ、」
「なに。」
「今度は、俺がお弁当作るよ。」
それから、お弁当を作るのは彼の仕事になった。
お墓の前で話している、彼女が幽霊バージョンと彼女が病気になって退院した後は彼が家事を頑張るバージョンと年老いた母に息子が恩返ししている光景が私の中にはあります。