ファーストブリーフィング/ドラゴンの卵
当なろう小説は 実在する人物・団体等とは一切関係が御座いません。
累計PVが1000を超えそうです。ありがとうございます。
ワシじゃ ジージじゃ
歳を取ると昔話が好きでのう
皆の前で 喋るのは むしろ大歓迎じゃな
「普段は魔法があるから 大して困りはせんのだが
わしらが造船を始めたのには ちと訳があっての、
エルフ族が・・・いや ドワーフ族らも巻き込んでの
大掛かりな仕事に発展するのじゃが 切っ掛けは実に些細な事じゃ。
切っ掛けは ワシの孫娘・シルが拾ってきた卵じゃ」
***** 西暦1900年頃(明治38年)・エルフ国エルフ村 *****
「シーールーー。シーールーーやーーー。どこじゃあーーー」
わしはジージと言う。エルフ村に住んどるエルフのジジイじゃ
今日は村はずれの湖に 孫娘のシルと来ておる。まあ散歩じゃな。
シルの両親は国王・王妃で 普段は公務があるのでシルの相手は出来んのじゃ
じゃから こうしてシルを連れ出したりして寂しさと退屈さを紛らわせておるのじゃ。
しかし困った事にシルと はぐれてしまったわい・・・・・
「シールーー。おお おったおった」
「あ おじい様、わたし卵拾っちゃった~」
「ほうどれどれ。大きいのう」
大きさは 人間世界で言うところの 大きめのスイカくらいかのう
大きさから察するに ・・・そうじゃのう・・・ドラゴンの卵とか。
いや・・・・まさかのう。
「おじい様、私この卵育てるっ!!」
そう言ってシルは卵を頭上に掲げる。いや実に可愛い。さすがはワシの孫じゃ
「フォッフォッ。まあ頑張ってみる事じゃ。さあ今日はもう帰ろう
ワシも探し回って疲れたぞい」
「うん おじい様」
こうして孫と帰ろうとした時じゃ
ピシッピシッ・・・パキパキッ
「・・・・・ピーーーイッ」
驚いた事に卵が割れて 幼体が孵った。
大きさは人間世界の 柴犬の成犬くらいかのぉ
生まれたばかりで細かい種類は特定出来んが ドラゴンの一種には違いない
ドラゴンの幼体を シルが地面に降ろす。
ドラゴンの幼体は ヨチヨチと歩き出し、シルにすり寄る。
シルを親と思っておるのか?
しかしこうも簡単にドラゴンの幼体が孵るとは・・・第一 親ドラゴンはどうした?
「ピーーイ」
「わあーかわいい」
可愛いかのう?
そう言って シルがドラゴンの幼体を撫でようとした時じゃ
バクッ・・・
シルの手はドラゴンの幼体に噛まれた!!
孫の一大事じゃ・・・ワシは杖を構え 魔法を発動しようとした。が、
「・・・キャハハハ、くすぐったーい」
なんじゃと?
ワシは魔法で【透視】を発動する。どうやらドラゴンの幼体は
シルの手を しゃぶっとるようじゃな。
推測するにドラゴンの幼体は 膨大な魔力を持つシルから
魔力を吸い出しておるのか?
色々疑問点はあるが もう帰らねば日が暮れる
そうなっては魔物が出没し 襲撃を受ける恐れがある
ワシひとりなら問題無いのだが 万が一にも 孫にケガをさせたくない
「シルや、そろそろ帰ろうではないか。」
「はい、おじい様」
シルはワシの方を向いて返事をするが
ドラゴンの幼体は 変わらず孫の手を しゃぶっている
どうしたものか
そんなワシの心配を知ってか知らずか シルは優しく幼体に語りかける
「ねえ、おウチに帰ろう。」
「ピィーーーイ」
なんとっ! ドラゴンの幼体は口から孫の手を離した
少々高い声で返事をしたようだが
これはシルの言葉を解したという事なんじゃろうか?
ともあれ これで普通に帰れるわい。
しかし城の者にはなんと説明したものか
***** エルフ国・エルフ城 *****
時刻は夕食時、今は家族で食事の最中じゃ
ワシとシル、国王と王妃。あとは給仕の者がおるだけ・・・いや もう一匹
ドラゴンの幼体も 床の上とは言え 夕食にありついておる
ドラゴンの幼体について説明してみたが 概ね好意的な反応じゃな
ホントにそれで良いのか国王よ。それはそれでワシは不安じゃぞい
ドラゴンの幼体には 小さめのブタの丸焼きを用意してみたが手をつける様子がない
シルの魔力でお腹が一杯になったか?
そんなはずは無いじゃろう。魔力は魔力、食べ物は食べ物のはずじゃ
「ほれ 食べなされ」
ワシはドラゴンの幼体に そう言ってみたが
ワシにもブタの丸焼きにも関心が無いのか 何とも反応がない。
「シルや、ドラゴンに食べるように言ってみなさい」
「うん、ドラゴンさん食べていいのよ」
シルはあくまで優しく 友達に促すように言った
するとどうだろう。ドラゴンの幼体は
ヨダレを垂らすでもなく淡々とブタの丸焼きを平らげた
いやちょっと待て、小さめとはいえブタの丸焼きは
ドラゴンの幼体と変わらない程度の大きさじゃ
普通は食べきれないはずじゃが・・・・・あの質量はどこへ消えたのじゃ?
それにシルには極端なまでに従順じゃ。
魔力を食べる事と言い 異常とも言えるが・・・。
シルとその両親 国王・王妃は 食事と会話に夢中で
ドラゴンの異常さには気が付いておらんようじゃな
じゃがシルに危害が及ぶ事は無いと考えて良いか。それだけ分かれば十分じゃろうて
ワシは それ以上悩むのを辞めて 食事を続けた。
そして 何日かの時間が過ぎたある日
ワシとシルはまた 村はずれの湖に来ておった
「シーールーーッ シーールーーやーーーっ」
はあーー 歳は取りたくないものじゃ
元気よく駆け回るシルと またしても はぐれてしもうた。
ドラゴンの幼体も 丁度良い遊び相手じゃしなあ
「シーールーーっ、おったおった」
「あっ、おじい様 またタマゴ見つけちゃった~」
気のせいかのう。何やら既視感が
ピシッピシッ・・・パキパキッ
「・・・・・ピーーーイッ」
こうして2体目のドラゴンが シルの遊び相手に加わった
ワシは 少しくらい楽になるかのう・・・
あれから4年の月日が流れた
2体のドラゴンは体が大きくなり 馬と同じくらいになった
そしてワシらは今 村はずれの森に来ておった
「シーールーーッ シーールーーやーーっ」
ワシの苦労は あの日から全く変わっておらん
ドラゴンの背中に乗って移動できる分 返って忙しいわい
魔法で身体能力を上げつつ 半浮遊状態で駆け回ること少々、ようやく追いついた
「シルやーー。おじいちゃんは・・・ゼエゼエ」
ワシもヤキが回ったかのう。じゃが孫の笑顔を見れば元気100倍じゃ
「あっ、おじい様 またタマゴを見つけたの。ふたつも」
大きさからして またドラゴンの卵じゃろうなあ。
ホントに親ドラゴンは何やっとるんじゃい!
シルの遊び相手のドラゴンは2体から4体に増えた
が、しかし この頃になると問題が持ち上がった
「ジージ様 お願いです」
「「「「「なにとぞ なにとぞ」」」」」
「うむ、皆の言う事は分かった。後の事はワシが責任を持って解決当たるぞい」
「さすがはジージ様だーーっ」
「「「「「ジージ様・万歳ーーーっ」」」」」
村人から陳情があった
いわく、
王様のところのドラゴンが付近の動物・魔物を狩りまくっている
いわく、
狩り過ぎて村人の狩る分が相対的に減ってきている
いわく、
そのような理由で 軽い食糧難に陥り始めている
と言うような事を いくつかある村の代表から 何とかして欲しい・・・と
ワシのところに話が来たわけじゃな
まあ身内の不始末と言えなくは無いし 国王の手を煩わせる事ではないし
問題を大きくしたくないという配慮もあって こちらにお鉢が回ってきたようじゃ
これでもワシ、前・国王じゃからのう
さて、約束はしてみたものの どうしたものか
まあ魔獣まで減っておるのは悪い事ではないじゃろうが
これ以上 陸上で狩りを続けるのは無理があるか
「ひとまず イカダでも作って漁でもはじめてみるか」
こうしてワシらは造船への第一歩を歩み始めたのじゃ。
まだまだ回想は続きます、気長にお付き合い下さいませ。
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