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不沈空母 赤城改  作者: 立体プリン
3/31

プロローグ 2 / 赤城の運命

UUが120超えました。ありがとうございます。

なんとか今週末にもう一本行きたいところです


通常=1人称 / 回想シーン=3人称 でいくかとw

航空母艦・赤城


巡洋戦艦として計画され 航空母艦として誕生した赤城は

1942年6月、日本から4000km離れたミッドウェー諸島で

運命の時を迎えようとしていた。


 「火災沈下 出来ません」

 「総員退艦 そーいんたいかーーん」


赤城は 米軍の爆撃を受け 自力航行不能に陥っていた。



 「このまま待っている訳にはいくまい 雷撃処分の準備をせよ」

連合艦隊司令長官である 山本五十六は言う


 「無念であります」

先任参謀の黒島亀人は 拳を握り ワナワナと震えている


そこへ一報が入る


 「国籍不明の大型艦が赤城へ接近。衝突の恐れあり」


幕僚陣に緊張が走る


 「どのような船だ」

山本は思慮深く尋ねる


 「見たこともない艦形ですが 武装らしい物を確認できません」


 「なにっ」


丸腰で戦場に現れるなど正気の沙汰とは思えず 一同驚きを隠さない


 「他に変わった事や気づいた事は無いかね」

黒島が訪ねる


 「それが・・・・・」

伝令の兵士は どもる


 「はっきりせんかーーっ」

幕僚の一人が怒鳴る


 「・・・信じがたい事に船体が氷に覆われ始めましてぇ」

言葉の最後の方は 消え入りそうに小さな声である


幕僚一同 事実を確認せんと 我先へと見晴らしの良い場所へと出る

山本も 座乗する戦艦大和の もっとも高い場所。

第一艦橋の上にある防空指揮所へと現れる


 「長官 あれです」


水兵の指差す その先に 何とも言えないソレはあった


船体はペンキすら塗られず 赤錆びた甲板の上には申し訳程度の船橋があり

およそ真っすぐな部分の少ない その素朴な造りに試行錯誤の跡が垣間見える

そんな武骨な船体の船橋より下が メートル単位の厚みで氷に覆われていた


こんな赤道直下の南国で およそあり得ない光景を

艦隊の一同に見守られながら 事態は さらに進行して行く


 「不明艦が赤城に接触します」

水兵の誰かが叫ぶ


不明艦が 赤城の左側、船尾から船首へと 船体をこすり付けながら減速する

赤城の着陸誘導灯が押しつぶされ 甲板脇のアンテナを弾き飛ばし

不明艦の氷を削りながら 赤城の構造物を破壊してゆく


しかし 赤城の舷側 5インチVC鋼の装甲が

【我ハ戦艦ナリ・戦艦ユエニ不沈】と主張するかのように

氷まみれの不明艦を受け流し、押し返す


そして不明艦が赤城の船首を追い越したところで 不明艦は静止した。

周囲には削り飛ばされた 微細な氷が空中を漂い、

戦場には場違いな 虹の橋を架けている


そして多少は消火の助けになったのか 火の勢いが気持ち小さくなる


一部始終を見終わった山本は 生唾を飲み込み

 「あれはなんなのだ・・・」

誰も答えられないのを分かっていても

 口に出さずには居られない山本であった。






この時を持って 航空母艦・赤城の運命は 大きく舵を切るのである。






*** 場所は戻って 赤城改から数十キロの海上・第634航空隊 ***


 「こちら岡 隊長機や。9番機・辺田へた応答せよ」


おう岡 鹿男や。今 空母に向こうとる最中やで


 「(ザザッ) こちら辺田 感度良好ですぅ」


空母に到着する前に 決めとかにゃあ ならんことがあってな


 「着艦できんと思たら 引き返しても良いからな」


 「こちら辺田。いや それは命令違反では?」


 「かまへんのや。聞かれたら【隊長の命令です】言うてもええで」


 「隊長・・・悪いです」


泣きそうな声で返事が返ってきた

先輩が言うとったんや・・・【無理と思たら引き返すんも男やで】






これには訳があってな


わいらの乗っ取る機体は 【彗星】言う艦上爆撃機なんやが

こいつは九九式艦上爆撃機の後継機種おもたらええで


性能的には九九式が 最高速度430kmで 彗星が550kmやから

100km以上ちごうとる


やけど【高性能でええこっちゃ】いう単純な話や無いんやな

この影響で 空母に着艦する時の速度が 九九式より速いんで

それだけ腕前が必要いうことや


そないな都合で 軽空母とかやと 上手い奴でも 離着艦は無理らしいわ


着艦に失敗したら ケガで済めばええけど 心情的にお勧めでけへん



そういう理屈で【無理や思うたら帰れ】と 辺田のヤツの背中を押しとるんや。


 「無理すんなや みんなも攻めちゃいかんぞ。飛ぶも降りるも命がけや」


 「たいちょうぉ ひくっ・・・ひくっ・・・」


あーーっ 大の男が泣くなや!


 「降りるも帰るも 辺田の判断に任す。ワイは辺田の判断を尊重する ええな」


 「こっこちら辺田 りっ りょうかい ヒクッ・・・ヒクッ・・・」


まったく 晴れの舞台が台無しやな


 「こちら2番機 口裏を合わせるであります」

 「こちら3番機 武士の情けであります」


以下 8号機まで同様の返事が入る

ワイは ええ部下を持ったなぁ


 「時間的に そろそろ見えてくるぞ。おしゃべり終了や」


無線機のマイクを置く


こないな事で悩まな いかんとは・・・

それもこれも上が無茶な命令を出しよるさかいになぁ


まあ【彗星で行けぇ】 いう事は軽空母以下という事はありえへんはずや

あとはどの程度大きいかだな



そうこうするうちに 水平線の境目に小島のような物体が見えてくる

なるほど 小さくは無さそうやな


さらに近づいてくる

なんや 気のせいか飛行甲板は 結構な高さがあるなぁ

50mはありそうやな


もっと近づいてきて 輪郭がはっきりする



 「おい みんな あれ見ろっ!」

 「でけえーー」

 「さっきのドラゴンですかね。2体居ますね」

 「飛行甲板に識別文字【ア】を確認 赤城と思われます」


艦首方向から艦尾方向へと 空母を左に見ながら通過する


後ろの整備員からも声がかかる


 「隊長 あれ正規空母どころじゃありませんよ」


 「そうやな ゆうに2倍はある。いや もっとか」


さっきのドラゴンと思われるヤツが2体おるけど

これ1体で二式大艇なみの大きさや。

二式大艇の翼の幅が 38mくらいなんやが

これが この空母の上やと 普通の艦載機に見えるわ

どんだけこの空母が大きいか 想像できるか?



いやいや驚いとる場合やない 指示出さな


 「小隊全機。空母を中心に左旋回や 着艦準備!」


みな一様に驚いたところで 無線が鳴った


 「(ザザッ)こちら赤城改。小隊の諸君 驚いたかね」


海軍士官が いたずらっぽい声で尋ねてくる


 「おう 度肝抜かれたわー」


 「そうか、聞きたい事が有ったら参謀殿にでも聞いてくれ」


参謀?

艦隊司令部が ここにあるんか?

まさかそんな疑問 無線で聴く訳にもいかんしな


 「こちら岡 着艦許可を求む」


 「こちら赤城改 着艦を許可する。誰から行くんだ?」


 「こちら岡 ワイからや。1番機から順番に降りる」


 「こちら赤城改 了解。準備は出来ている いつでも降りられたし」


 「こちら岡 進入コースに乗り次第 着艦する。以上」


やっと辿り着いたと安堵すると共に もう一つの問題も解消した。


 「こちら隊長機 岡、9番機 帰らんで良さそうやな」


 「こちら9番機 辺田。はい。このデカさなら地上と変わりません」


 「肩の力抜いてな。以上や」


 「はい。ありがとうございます。」


ワイなんもしとらんけど 礼を言われてもうた。

たまたま でっかい滑走路があっただけや

あっただけやが・・・・・これは沈む気がせんな。


俺は内心で クスクス笑うと

着陸誘導灯の光を頼りに 着陸態勢に移行する




*** 赤城改・艦橋 秋葉尾 ***


全長 800m

船体幅 108m

排水量 50万トン


生まれ変わった赤城は 21世紀初頭のどの軍艦よりも大きく

そして 沈まぬ事を念頭に 日本海軍と エルフ界と 21世紀の後知恵を

プラスして造られた 洋上の要塞なんだよ


今はまだ公試運転中だけど この艦を持って エルフ界と日本に勝利を約束しよう


着艦作業を見守りながら そんな事を考えるのだった

次こそ着艦?


ブクマ登録・評価などありますとモチベーションが上がります

ご意見・ご感想・誤字脱字報告も待っております


※更新情報 2/12

赤城と不明艦衝突時の表現を加筆

山本長官が昇って行った先が露天艦橋だったのを防空指揮所へ変更


気になっている点として、

着陸誘導灯ですが文献によっては着陸指導灯とかバリエーション(!?)があるようです


※更新情報 4/1

 >赤城は 米軍の雷撃を受け 自力航行不能に陥っていた。

 の、【雷撃】を【爆撃】に訂正

 ご指摘頂いた方、ありがとうございます。

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