訓練編 / 王子様は二度死ぬ!?
***** 空母対決から翌日/軍令部の一室 *****
儂、山本五十六は 苛立っている。
「全くっ 話にならん・・・敵は米英なのか ワシらなのかっ」
儂は苛立ち紛れに 手にした資料を机に叩きつけた
儂らは軍令部に直談判し 一時的にせよ 赤城改への戦力の集中を軍令部に訴えたが
彼らは聞く耳を持たず あくまで『我々の命令を忠実に実行せよ』と来たものだ
「芳しくありませんでしたか・・・長官」
宇垣君が聞いてくる。彼は控室に待機し 儂と黒島君とで談判してきた訳だが
黒島君も『やれやれ』という表情をしていた
「ああ、梃子でも動かんな あれは」
横で黒島君が頷いている
「仕舞いには 貴様ら『おとぎ部隊』だけで何とかせい と、言われる有様だ」
儂がそう言うと 黒島君も愚痴を こぼした
「私など
『貴様は先任参謀なのだから 仙人のように未知なるチカラで奇跡を起こして見せよ』 と 言われました」
宇垣君は絶句している
「黒島君、苦労を掛けるね」
儂は黒島君に ねぎらいの言葉を掛けるが
「いえいえ、ひねりが無さ過ぎて 怒る気にもなりませんよ」
黒島君は笑って返した。
その軍令部からの言葉に儂は 怒りを禁じえなかった
全く この未曾有とも言える国難を前に
『おとぎ部隊』とか区別を している場合ではあるまい・・・
・・・ふう・・・
クラーケンを使い 太平洋の西側半分近くは制海権を確保しつつあり
東南アジアからの物資が日本と言う工場の物資を潤し
徴兵で招集された工員達も現場へ戻り 再び戦地へ物資を満たしてくれるモノと
期待しているが やはりそれには時間が掛かる。
そして、何よりも気になるのがナチスドイツの動向だ。
魔法界にも艦船を送り込み 何やら画策している・・・
詳しくは憲兵隊の尋問待ちだが ドイツも一定水準の魔法技術を得たと見るべきだ
そんなドイツの工業力と 魔法技術・素材が結びついたらと思うと・・・
・・・儂は恐ろしい予感がしてならない。
一刻も早く 米英と早期講和に持ち込まなければ・・・・・
一時的でも良い。
エース級の凄腕を集めて 米軍に侵攻を思いとどまらせる確実な打撃が欲しい
・・・・・しかしどうしたモノかな。
そうこうするうちに 儂の前に湯呑が置かれた
従卒の子が 茶を運んできてくれたのだ
儂は気分を変えようと 取り合えず 茶を飲む事にした。
・・・・・いつもと味が違うな・・・新人だからか?
・・・・・新人・・・新人!?
はたと儂は閃いた。
将来 エースパイロットになる新人を集めれば良いではないかっ!!
それなら現場からの突き上げも無い
そして、ワシらには誰が将来 エースパイロットになるかが分かる情報がある
儂は愛用のカバンを持ってこさせ 机の上に 中身をブチまけた
「長官?」
宇垣君が心配そうに儂を覗き込んでくる
気でも狂ったと思ったのだろうが 儂は至って正常だ。
・・・・・これじゃない・・・これでもない・・・あった これだ
儂は一冊の本、この時代には無いはずの本を取り出し 高々と掲げ 宣言する
「今から人選をやろうじゃないか。正し、新人に限定だぞ」
宇垣君と黒島君は 一体全体どういう事だという顔をしていた。
趣旨を説明し、納得してもらったところで 3時間くらいが経過しただろうか。
「やはり時期が悪いですな~」
黒島君がボヤく。
予科練などで訓練中の訓練生を 引き抜くしかなさそうだが
引き抜くのが早過ぎると 技量不足になりそうではあるが
かと言って卒業まで待つとなると・・・・・年内の作戦実行は不可能になる
・・・仕方が無い。
儂は一人の訓練生に白羽の矢を立てた
菅野 直少尉、21歳
史実に置いて彼は テニアン島に不時着した際、『自分は日本のプリンスだ』と
現地住民に対して 名乗ったそうだ。
儂はその破天荒さと奇抜さに掛けてみようと思うのだ
しかしまた軍令部に正面から掛け合っても難しいだろうなぁ・・・・・ならば
いっその事、文字通り 引き抜いてしまおうか?
***** 翌日/赤城改・艦長室 *****
「という訳なんだが秋葉尾君 妙案はあるかね?」
僕、秋葉尾 拓は 朝から雁首を揃えた 山本長官たちと
シルちゃん、護衛のセセラギさんとで
トーストとコーヒー・紅茶で軽く朝食を取りながら 小会議の真っ最中だ
ちなみにシルちゃんは イチゴジャムたっぷりのトーストにご満悦だ
軍令部をアテにせずに・・・最悪 妨害も視野に入ってくるとなると
実力行使しかないだろうなぁ・・・・・ならいっそ 厄払いも兼ねて
王子様には一度 死んで頂くかな
「長官、作戦を思いつきました。彼には一度、『殉職』して頂きます」
宇垣さんと黒島さんは 引いてるけど長官は
「『殉職』とは穏やかじゃないが 詳しく聞こうじゃないか」
言葉に凄味は感じるものの 長官の目は笑っているように僕には見えた
コホン。
僕はワザとらしく咳ばらいをして続けた
「言うまでも無く 本当に死んでもらう訳ではありません。
意図的に、見た目が派手な事故を起こします
それこそ『死んでいてもおかしくないくらい』のレベルでです
もちろん 魔法を駆使して全力で守ります。
ご本人には ちょっとだけケガをして貰って 赤城改に収容してしまうのです
そうすれば 療養を理由に赤城改に留め置くことが出来る・・・と。」
しばし沈黙の後、宇垣参謀長が口を開いた
「具体的にはどうするんだい?」
僕は自信たっぷりに答えた
「この時期、菅野・・・今現在は少尉ですね
大分の訓練隊に居るはずです。
そこへ視察と称して当艦で乗り付け 少尉が飛んでいる時に
主翼目掛けて機銃弾を発砲、海面上に着水するように仕向けます
そこを我々が救助し、そのまま治療と称して・・・あとは分かりますよね?」
宇垣参謀長と黒島先任参謀は 生唾ごっくんだけど 山本長官は肩が震えていた
「・・・秋葉尾君。」
長官は肩を震わせたまた僕に言った。まずかったかな?
と、思ったけど 長官は自分の膝を叩きながら 豪快に笑い始めた
「ハッハッハッ、責任は儂が取るから ハッハッハッ…やってくれ」
長官は よっぽどツボにハマッたのか しばらく笑い続けていた
そんな様子に宇垣参謀長は オロオロするが
黒島先任参謀は冷静に聞いてくる
「つまり飛行中の飛行機を撃つというのかね?
練習機とはいえ 普通はまず当たらんもんだが大丈夫かね?」
「はい、大丈夫です」
僕は視線をシルちゃんに向け続ける
「こちらに居るシルちゃんなら 20センチ砲弾でも正確に当てる事が出来ます
増してや25ミリ機銃など・・・物の数ではありません」
そう言うと 先日のドイツ軍・空母との戦闘を思い出してくれたのか
『あーそう言えば』と言う表情になって納得してくれたようだ
で、シルちゃんはというと 無い胸を一生懸命前に出して『えっへん』してるけど
口の周りはイチゴジャムだらけで台無しだ。
セセラギさんが お母さん宜しくハンカチで『おーよしよし』ってな感じで
拭いている。
これでは どちらが育ての親だか分ったモノではない
そして 笑い疲れた山本長官が 悪だくみをしてそうな顔で言った
「秋葉尾君、君も中々のワルだねぇ」
すかさず僕も言い返す
「いえいえ、時には政治的判断も必要になって来ますから」
「ふっ」
「フフッ」
「ふふっ」
「「フハハハハハッ・・・」」
僕と山本長官はお互いの肩を叩いて笑いあった
「あー タクが悪い顔してるの~」とは シルちゃん
「シルちゃんは清いままでいてね」とは セセラギさん
シルちゃんのために 苦労してるんだけどなぁ・・・
***** 翌朝/大分県・大分航空基地 本部庁舎の一室 *****
「今何と言った?」
「はっ、本日 山本五十六 連合艦隊司令長官が当基地を視察に訪れるとの事です
ただし上陸はせず 航空母艦・赤城改へ座上されたままの視察との事であります」
「分った、他の皆にも伝えてくれ。」
俺は胃の辺りがキリキリ痛む感覚に襲われた。
俺は 岩崎 邦男
この基地で教官をやっているが 頭痛のタネは 菅野のヤツだ
ヤツは 腕は良いんだ。 腕は。 掛け値なしに腕は立つ
しかし 壊した機体は一機や二機ではない
そして付いた渾名が『菅野デストロイヤー』だ
これ一つとっても いかにヤツが 我々教官たちの頭痛のタネか お分かりだろう
そこへもってきて突然の 山本長官訪問・・・
頼むから今日一日 無事に過ぎてくれ・・・と 俺は天を仰いだ
***** その頃、同基地・格納庫内 *****
「長官直々の視察? よっしゃ~今日はどんなスタントで行こうかな」
俺、菅野 直は 朝から気持ちが高ぶっていた
俺様の操縦を 軍神と呼ばれる山本長官に見て貰えるからだ。
そんな俺に同僚は言う
「お前またスタント(曲技飛行)やる気か? 少しは自重しろよ」
慎重論を唱える同僚に俺は言い返した
「あんだ・・・お前 こんなチャンスめったにあるもんじゃないだろう
ここで頑張らんで いつ頑張るんだよ?」
負けずと同僚も言い返す
「こんな時だからだよ。
視察中に機体を壊してもみろっ、絶対 心証悪くなるぞ。」
それもそうかと ちょっとだけ納得したが
そんな俺を 言い負かしたと思ったのか同僚は俺の肩を叩いて
「まっ、頑張れよ」
そう言って 自分に割り当てられた機体の飛行前点検に戻って行った。
***** 大分市から東へ32kmの海上 *****
***** 航空母艦・赤城改 艦橋 *****
本艦は現在 大分県は大分市から東へ32kmの『高島』という島の東側で
錨を降ろし停船している。時間を調整するためだ。
僕、秋葉尾 拓は早起きしたせいで あくびが出そうになってるけど
艦長という立場上、あくびを必死になって我慢していた
と、言うのも 赤城改は その巨艦ゆえ 普通に航行すれば莫大な燃料を消費する。
しかし シルちゃんさえ起きていれば 魔法を動力源と出来るので
普段は極力、魔力による動力源で航行していて
重油は発電のために少々 使っている程度だ
シルちゃんが寝ていたりする時に航行する場合は莫大な重油が必要になるけど
作戦発動までは 極力節約して 軍令部に付け入るスキを与えたくは無かったんだ。
そして僕らはグラーフ・ツェッペリンをトドロキ君と 駆逐艦の方たちに任せ
翌朝 呉沖に転移した後、ここ 大分県は高島の陰に隠れるため
数十キロを航行してきたんだ
おかげで 専用シートに座っている シルちゃんは 早起きしたせいか
コーヒーカップを持ったまま 舟を漕いでいる
あれでよく コーヒーこぼさないな・・・と 感心したり
待つ事 1時間経ったくらいか?
「ザザッ・・・こちら騎士団、王子様は馬車を準備している」
昨日のうちに上陸させていた有志連合による部隊から連絡が入った
『王子様』とか『馬車』とかは いわゆる隠語で
ここで言う『王子様』とは 今回のターゲットである菅野 直その人で
『馬車』とは練習機を指している
しかし『騎士団』とか・・・なかなか悪乗りが過ぎるな。
それよりもだ。僕は指示を出す
「出航準備。錨上げーー」
そして もう一つ、重要な準備がある
「シルちゃん、ほら起きて。起きてってば」
シルちゃんの目は開いているようで 焦点が合ってない
コーヒーだけじゃ不十分か・・・
僕はポケットから ペロペロキャンディーを取り出し、
包装を解いてシルちゃんの口に突っ込む
「!!!」
シルちゃんの目が カッと見開かれる。
シルちゃんのエンジンが掛かったようだ。
「シルちゃ~ん 魔力を高めてね。でないと機関が動かないから
準備が出来たら 両舷半速で航行するからね」
「はいなの~」
ほどなくして 赤城改は 島影から出て
大分航空基地を目指し 西へと進路を取った
***** 大分航空基地・本部庁舎 *****
「おい でっかい艦が見えるぞ。うわさ以上のデカさだ
ただ分からんのは船体が 真っ白って事だな」
俺、岩崎 邦男は 本部棟の屋上から見たという同僚から話を聞いていた
とうとう来たか・・・・・
また運の悪い事に 次は菅野のヤツだ
頼むから問題を起こしてくれるなよ。
この時ばかりは あらゆるものに 俺は祈った
ああ 俺の頭は真っ白だ
***** 同基地内・駐機場 *****
俺がテキパキと飛行前点検を済ませていると
「おい菅野 無茶すんじゃないぞ~」
「会うヤツ 会うヤツ みんな同じ事しか言わんな」
いざ練習機に乗り込もうとする際、整備員にもそんな事を言われた
何か気分悪いな~
「はははっ 何でももう赤城改が見えたって話だぞ。」
「ホントか? なら絶好のタイミングだな」
「間違っても落ちてくれるなよ。基地にも面子ってもんがあるからな」
「ぬかせ~ 誰に言ってんだよ」
「まっ その意気だな。エンジン掛けて良いか?」
整備員との会話で 浮かれそうになった自分の気持ちを引き締めるため
両の頬を 両手でパチンと叩く。
操縦に専念しよう。
「頼む。」
しばらくして 俺の乗る九六練戦が空へ舞い上がった
***** 赤城改・艦橋 *****
「ザザッ…こちら騎士団、王子様は東の空へ飛んだ。」
無線が入った。僕はすかさず
「ソヨギちゃん、どうか?」
艦橋の上で待機している ソヨギちゃんに確認する
彼女は風魔法の使い手だから 離れていても 問題無く会話できる
「目標の飛行機よ、近づいてる」
風魔法で ソヨギちゃんの言葉が届けられる
よし、それでは事前の取り決め通り いくとしよう
僕は艦内放送のスイッチを入れ
「艦長より通達、手隙の者は 飛行甲板へ。事前の説明通りに頼む 以上。」
ここまでは予定通り。内心ニヤリとしながら マイクを置いた。
***** 赤城改・飛行甲板 *****
何度見ても 赤城改の飛行甲板は広いなぁ・・・
おう、ワイや。岡 鹿男や。
食堂で朝飯食っとったら『本日 手隙の者は以下の手順で行動の事』と
回覧が回って来たんや
なんでも 航空機が来たら『帽振れ』で帽子を脱いで 勢いよく手を振れと。
朝から何なんやと思ったんやけど 大分航空基地に寄ると聞かされて納得したんや。
あそこは練習隊やからな。後輩たちを いっちょ応援しときますか~
・・・・・と、この時の俺は まさかあんな事になるとは思てへんかったんや・・・
***** 大分上空・九六練戦 *****
高度300mくらいで水平飛行に移り 赤城改が見えたという東に進路を取る
確かに 真っ白で巨大な何かが見えた
近づくにつれ 段々と空母と言う艦形が視認できた
軍艦なのに 真っ白って?
船体色は ともかくとして その大きさには圧倒される
まだ10km以上は離れているはずなのに その荒波にも微動だにしない船体からは
力強さを感じる
「あれに軍神と言われる山本長官が居られるのかぁ・・・翼くらい振ったろ」
そう考えて 艦橋のある左舷側を通るように 機首を向けた
***** 赤城改・飛行甲板 *****
おっ 単発機が見えたでぇ 真っすぐ こっちに来よるな
「おーーい、頑張れよ~~」
「頑張れよ~~」
「おーーい」
「帽振れーーっ」
ブオオオオオォォォ・・・ン
おーー あいつ翼 振って行きよったで・・・・・あっ
***** 赤城改・艦橋 *****
「シルちゃん 撃てっ」
「あい」
シルちゃんからの返事と同時に九六練戦が片翼を もがれ コントロールを失う
本艦に搭載の いずれかの25ミリ機銃が火を噴いたと思われるが
発砲音は ソヨギちゃんの風魔法で消音しているはずなので 銃声は聞こえない。
僕は
「ソヨギちゃんっ」
ソヨギちゃんに行動を促すが
「承知っ」
言葉を風に乗せ 彼女は王子様を救いに行ってくれた
さて、それからええと・・・
「シルちゃん、しばらく推進器逆転させたら、停船して」
「はいなの~」
明るい返事が返ってくる
「あー それから岸からの船より早く内火挺 降ろしてね。」
救助をソヨギちゃんに任せ、僕は艦内の指揮に専念した。
***** 被弾した九六練戦では *****
体験した事の無い衝撃に見舞われたと思ったら 機体が左に激しくロールを始めた
どうやら左主翼が やられたらしい。
銃声が聞こえたような気がしたが 気のせいだろうか?
近くに敵機が?
いやそんな事考えるのは後だ
今は生き延びる事を考えよう
よりによって『左』が やられたか・・・・・
航空機と言うのは 機首のプロペラを回して推進するが
機体には そのプロペラを回した際に生じるカウンタートルクと言うのが発生する
この飛行機の場合、プロペラは右に回っているが
機体には反対向きの『左』に回ろうとする力が働く
そして通常は 当て舵等で その力を相殺するが
よりにもよって左主翼が損傷したために 右主翼の揚力とカウンタートルクが
合わさり、機体を激しい左ロールを襲い 天地の上下が激しく入れ替わる。
とっさの判断でエンジンを切るも 状況は絶望的。
このまま海面に叩きつけられるのか?
いや、俺は諦めないっ!!
そう思った時、あり得ない事が起こった
突然、俺の体に 誰かが乗って来た。
女の子?
黒髪で切れ長の目をした女の子が現れて 俺の膝の上に載っている。
幻か?
いや、この重さは幻なんかじゃない
この女の子が何者なんか関係無いっ、 この子だけでも助けんと・・・
そんな事を考えてると 女の子は『ニッ』と笑ったかと思ったら俺に抱き着いて来て
そっから先は 意識が途絶えて覚えて無いんだ・・・
***** 佐賀関半島沖・海上 *****
バシャバシャ・・・ドドーーーーーン
「内火挺 着水地点に急げーーーーっ」
***** 赤城改・医務室 *****
帰れ? あんた誰や?
どっかで見たような・・・・・誰やったかな?
ん?
何やら周りが明るくて 俺は目を覚ました。
ここはどこだ?
誰か俺の名前を呼んでるような?
「おい菅野っ 菅野っ 生きてるか」
「大丈夫か?」
「死んでたらベッドには寝かさんだろう」
次々に知った声が聞こえてきた。
みんな あの世に来たのか?
いやいや都合よく みんな同時に来るわけないだろうと考え直した。
「みんな騒々しいな、俺は生きて…」
そう言いながら ゆっくり目を開けると
自分の体に巻き付けられた包帯に びっくりした
そして 右足はギプスで固められ 器具でぶら下げられている
どうやら左腕もギプスで固めてあるらしく 動かす事が出来なかった。
そうか俺は・・・でも生還できただけでも めっけもんだろう。
そう思う事にした。
何やら少し離れたところで 教官が一生懸命謝る声が聞こえるんだけど
一体誰に謝ってるんだろうな?
そんな事を考えていると 同僚の操縦士候補生が話しかけてきた
「よう、赤城改 乗艦の気分はどうだ?」
ケガ人に掛ける言葉としては どうかと思うが 俺は言って返した
「艦内が見て回れる訳で無し、良いも悪いも無いだろ」
と言うと、
「そうか 取り合えずこの船の飯は美味いらしいぞ。喜べっ」
「あのなぁ・・・」
その場に笑いが ドッ と上がった。
そういや あの女の子は何だったんだろう?
***** 赤城改・艦橋 *****
「秋葉尾君、うまくいったね」
山本長官が僕に言う
「はい、あとは時機を見て 魔法で完治させれば終わりです」
「そうかね。ソヨギ殿にも後で礼を言っておいてくれ
儂は 詫びを入れに来た教官達が 不利な扱いを受けないように
これからまた 根回しに行ってくるよ」
「はい、留守は お任せを」
山本長官達は また一式陸攻・改の機上の人となった。
***** 愛知県・三菱内燃機製造の一室 *****
「また特注機ですか・・・」
僕、堀 越二郎は 度重なる 特注機の受注に頭を抱えていた
先日も 一式陸攻・改の2番機 3番機を納入したと思ったら
今度は零戦の改造ですか・・・何々、今度はどんな改造なんだ
んー 一式陸攻同様、謎の素材を追加に
装備の追加か・・・・・追加装備と思われる部品の一部も送られてきたようだ
中身を確かめてみる
どうやら電気部品だ。
付属の配線図を見ると どうもタバコの箱と同じくらいの大きさの箱に
全ての配線が繋がっているなぁ
ただ、謎の箱には『アケルナ』と書いてある・・・・・しかし
仕様なのかどうなのか 電源と思われる配線は どうやっても箱を開けないと
接続は無理のようで
「これは開けるしかないな・・・」
後で問題が起きて 文句を言われるのも こちらだし・・・
えーい 『手が滑った』事にしよう
開けて確認する事にした。
ネジを緩め 蓋を開けると
・・・・・米粒よりも小さい部品が並んでいる他に 一際印象に残ったのが
数ミリ角の黒い板状の 樹液かなんかで固めてあるのか?
そこから金属のピンが数十本も出ている物が 何故か気になった。
***** 赤城改・艦橋 *****
王子様には 相応しい白馬を用意しないとね
「あーそうだ シルちゃん 夕ご飯にしようね。」
「はいなの~」
慌ただしかった 今日一日が終わろうとしている。
長らくお待たせしました
当なろう小説は 実在する個人・団体等とは一切関係御座いません
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