訓練編 / 空母vs空母
***** 会談の翌日・風竜の谷から南西100km *****
***** ドイツ航空母艦 グラーフ・ツェッペリン・艦橋 *****
儂だ。ヴァイストールだ
昨日の会談から 即時撤ta・・・いや、転進を決め
魔力素材の収集作業を放棄し、もう一つの目的である『シル王女の確保』も
大日本帝国の後ろ盾があるような状況下では 奪取は難しいと判断し
僚艦を伴い、わしらが唯一使える転移地点へ向け 全速で航行中だ
儂は いつもは作戦室に居るが 事態急変に備え 艦橋に詰めておる
「速力 25ノットに到達。」
艦橋に誰かの声が響いた
・・・・決して遅い速度ではない。遅くは無いが・・・
儂は艦長を呼ぶと
「30ノットまで上げよ。良いな」
「それですと燃料の不足が懸念されますが・・・」
「儂も最後まで その速度が必要とは思わぬ。しかし相手の戦力が知れぬ。
可能な限り現海域から離れたい」
「はっ、分かりました」
皆は 船の速力と馬力の関係を知っておるか?
船と言う乗り物は 速度を2倍にしようと思うと馬力はその3乗に比例して大きくなる
つまり15ノットから30ノットから2倍に速度を上げた場合、2の3乗
つまり8倍の馬力。言い換えれば8倍の燃料を消費するという事だ
船の航続距離なんて言う物は もっとも効率の良い速度で 導き出されるからして
最高速度に近い速度で航行し続ければ 最悪、燃料切れで漂流なんて事態もありうる
が、今は逃げk・・・いや 日本軍の制空圏から離れなければならない
制空圏から離れたところで 燃費を優先した速度で航行すれば良いのだ。
そんな事を考えておった時じゃ
「後方に艦影 1。駆逐艦クラスと思われます」
「1隻だけか?」
「はっ、他の艦影・航空機は見当たりません」
「分った」
艦橋内で そのような やり取りが なされた。
確かに駆逐艦の快速なら こちらにも追いつけよう。
しかし追いついたところで 所詮は駆逐艦。我が空母群の敵ではない
我が空母には 単艦での運用が出来るように 15センチ砲が16門 備えてある
そして何よりも
「少将閣下 交戦しますか?」
凡庸な副官、トーマス・フォン・ボルク少佐が聞いてくる
面倒くさくはあるが 儂は答える
「いや 積極的に沈める必要は無い。更に増速すれば良い」
「は、はい。・・・おい副長、増速だ もっとだ」
「はっ」
命令と言うのは 曖昧ではいかんのだ。正確に 明確に出さねばならん
常日頃から 言うておるのに こやつは・・・・・
まあ今はそんな事は どうでも良い。
本艦 グラーフ・ツェッペリンと 僚艦 ペーターシュトラッサーは
ラ・モント高圧ボイラー 16基と4組のギアードタービンで 20万馬力を誇る
機関出力がある。これを生かせば 最大35ノットの快速が出るのだ。
この速度に達すれば 大抵の艦船は追いつけまい
今は武勲を誇るよりも 総統閣下に魔力素材を届けなければならない
「現在、26ノット」
誰かが艦橋で叫ぶ
3万トン超を超える巨体だ。機関出力を上げるのも 速力を上げるのも時間が掛かる
「後方の艦影、更に接近します」
艦橋に緊張が走る
そこへ、艦橋内でも楽々聞き取れる大音量が響いた
「我々はドワーフ国の者であーる。そこの空母。停船しなさ~い
停船ののち 臨検を行う。繰り返す、我々は・・・・・」
双眼鏡を使うまでも無く 肉眼で視認できる距離まで 近づいてきた駆逐艦
なにが『我々はドワーフ国』だ。艦形は まるっきり帝国海軍の物では無いかっ!
だが とっくにお互いの射程距離には入っている。
撃ってこないところを見ると 本当に臨検するだけだろうか?
いやいや 希望的観測過ぎるだろう
やはり足止めしておくか
「おい トーマス」
「はっ 少将閣下」
「後ろの五月蠅い ハエを黙らせろ。
よいか、船足を鈍らせれば十分だ。撃沈する必要は無い。分かったな?」
「はっ、総統万歳」
「総統万歳」
まあ上手くいかなくても大した問題は無い
本艦が増速するまでの時間を稼げれば良いのだ
艦橋に居る人員も 儂の意図を察してか 質問に来る者も意見具申に来る者も居なかった
しばらくして 我が方の15センチ砲が 咆哮を上げ始める
ドン・・・ドン・・・ドドン・・・バシャーーン
駆逐艦の艦首周辺に盛大な水柱が いくつもいくつも出来上がり
海水のシャワーを駆逐艦に浴びせていた
対する駆逐艦は 当たる訳が無いとタカをくくっているのか
反撃してくる様子が無い
双眼鏡で 駆逐艦周辺を見てみる
なかなか 惜しいところに 着弾しているが・・・下手すぎやしないかね?
***** その頃、15センチ砲 砲座では *****
「けっ、SSの少佐風情が・・・偉そうに」
「おいおい聞こえるぞ」
「構わねえよ あんな頭悪いヤツ。それにあの駆逐艦、
撃ち返してこないじゃないか。しかも日本軍のやつじゃないか
この命令なんかおかしいぞ」
「ああ言われてみれば確かに。」
「だからよー。分からない程度に はずしときゃいいんだよ
おい そこのヤツ。信管 はずしとけぇ」
「ああ分かった。だが一発くらい マグレ当たりしても良さそうなモンだが・・・」
などという会話がなされているとは 少将閣下の知るところでは無かったのだ
***** 一方、駆逐艦の方では *****
「エルフ殿 本当に大丈夫なんですか?」
「はい、王女様ほどではありませんが 風魔法で弾道を逸らす事は出来ます
現に一発も当たってないでしょう。」
「「「すげぇ~~~」」」
様々な人間の思惑が混ざり合い、実弾演習の場と化していた
***** 再び グラーフ・ツェッペリン・艦橋 *****
一発も当たらないとは どういうことかね?
やはり我が海軍は伝統的に弱いのか?
とはいえ 駆逐艦との距離も 相当開いてきてはいる
もはやお互い命中を期待できる距離でも無いか・・・
「現在、31ノット なおも増速中」
誰かが叫ぶ
駆逐艦の最高速度を凌ぐのは 時間の問題だろう
ほどなくすると 追跡を諦めたのか 駆逐艦は転進していった
やれやれ 一息付けそうじゃわい
「はははっ、口ほどにも無い連中だな」
艦橋内で誰かが そう言う
まだ実戦らしい実戦を経験していないせいか そう言った軽口も上がったが
内心 儂も同意見じゃったから その場は何も言わずに置いた
そう、『ソレ』見るまでは・・・じゃ
「とっ突然。あっ、あれをーーーーっ」
誰かが悲鳴にも似た声を上げた
大の男が何を言っておるのじゃと この時は思っていた
双眼鏡を手に取り 後方に浮かぶ ソレを見た時、儂は言葉を失った
「「「「「 !!! 」」」」」
ソレを見た全員が 同様に言葉を失う
『氷山』かとも思ったが違った こちらの両空母を合わせた全長よりも長そうな船体が
30ノットを超える こちらの船速に 信じられないペースで距離を詰めてくる
「航空機の発艦準備を急げーっ」
儂はエルフ国とドワーフ国、大日本帝国海軍のチカラを 甘く見ておったのかもしれん
***** その頃、ハワイ・真珠湾にあるアメリカ太平洋艦隊司令部 *****
私だ ニミッツだ
コンコンッ
執務室のドアがノックされた。ようやく彼が来たようだ
「入れ」
ガチャッ・・・キイ
「ハルゼー お呼びにより出頭しました」
「よく来てくれた。まずは掛けてくれ」
ウィリアム・フレデリック・ハルゼー中将。『ブル』の異名を取り
我がアメリカ海軍の空母艦隊を率いていたが、5月末に皮膚病を患い入院していた。
このほど 退院し戦線に復帰しつつある
彼はパイロット資格を有する空母艦隊の司令官で 今回、例の超巨大艦の事で
艦長とパイロットの両方の視点で意見を 聞いてみたく、出頭させた
「今日呼んだのは他でもない、
君も『白亜の超巨大艦』の噂くらいは聞いた事があるだろう
そこで ハルゼー中将の見解を聞いてみたいと思って召喚した」
「あの噂ですか・・・・・自分は建艦については素人ですが
船体色を真っ白にするメリットとしては『熱膨張の軽減』くらいしか
思いつきませんな」
「ほう 通常、上甲板には木材などを張り付けて 断熱材にするかとは思うが
それだけでは不十分だと?」
「はい、2000フィート(609m)越えともなると より一層、
断熱・遮熱の対策が必要ではないかと推測します」
「なるほど」
諸君らは 金属でできた箱。倉庫のような物に入った事はあるかね?
鉄と言う物は 熱を伝えやすく 例え直に火に炙られなくても太陽光を受けるだけで
相当な温度になったりする。そしてそれは船体の色にも左右される
一般的に『黒』が熱を持ちやすく 『白』が熱を持ちにくい
視認性を下げようと わざわざ真っ黒に船体を塗らないのは そう言った理由がある
そして船体の温度が上がれば 船内環境の悪化は言うまでも無いが
船体を構成する『鉄』も熱膨張に晒される
例えば船体の左右で 極端な伸び縮みが起きると
スクリューシャフトへの悪影響も避けられないのだ
「しかし・・・・」
『ブル』猛牛と呼ばれる彼が 珍しく口ごもる
「しかし。なんだね」
彼は風貌に似合わず、 照れながら
「軍艦だ 病院船だと 先入観を捨てて言わせて貰うなら
存外『塔の最上階にはプリンセスの住む 白亜の城』かもしれませんなぁ」
「はははっ そう言った柔軟な発想は大事かもしれんな」
白亜の城? 何を馬鹿なと思ったものだが
まさか正鵠を射ていようとは・・・この時は 思わなかったのだ。
***** 赤城改・艦橋では *****
「ステルス解除。敵艦が気付いたようです」
見張り員から報告が入る
やあ、秋葉尾だよ
駆逐艦では さすがに荷が重かったね
ところで本艦の船体色は 基本真っ白なんだけど まあ確かに熱対策の一面はある
発見されやすいという懸念も分かる
でも そんなものは魔法でどうにでもなるんだよ。この艦は
魔法で 船体にイラストを描くことだって造作も無い事だし
光魔法を駆使して 艦そのものを不可視にすることもできるから
普段の船体色が真っ白でも 大きな問題は無いんだ。
だからこの艦は シルちゃんに相応しく 基本『白亜の城』なんだよ
「敵、航空機の発艦準備をしています」
おっと 見張り員からの報告だ。こっちも手を打たないとね。
「風竜さん達、発艦。敵戦闘機の頭を押さえて」
号令と同時に 風竜さん達が 飛び立っていく
彼らには エンジンの暖機運転も 飛行前点検も必要ない
バサッ・・・バサッ・・・
ある程度 赤城改から離れると同時に 風魔法を発動したのか
石弓に引かれたみたいに 加速していった。
***** 再び、ハワイ・真珠湾にあるアメリカ太平洋艦隊司令部 *****
「はははっ、それで 2000フィート(609m)を超える船体については
どう思うね?」
ハルゼーは暫く考えた後、
「そうですね。整備も含めての考えになりますが
発艦する場合、艦首に近い場所から 飛び立つ場合、滑走距離が短い関係で
パイロットの技量に左右されるのと、
飛行機、特にエンジンには負担が掛かる関係で ジャップの工業力では
故障が増える要因になりかねないでしょうね
そして 運悪く整備の状態が悪く 離陸を断念せざるを得ない機は
通常は海に落ちたりするでしょうが それほどまでに巨大な飛行甲板なら
海に落とす事無く回収できるでしょうね。
先の海戦で航空機やパイロットの多くを失った日本海軍としては
まあ経済性を除けば 技量の低いパイロットには朗報でしょうね」
「なるほど」
経済性を除いてか・・・まあ建造計画は ずいぶん前からあったと見るべきだろうな
一息つくべく 傍らのコーヒーを ひと口飲んだ
「あとは・・・・船体の揺れは小さくできるかもしれませんがね
それだけ大きくても揺れがゼロにはならんでしょうね」
「揺れがそんなに問題になるのかね?」
「なりますとも 全長が850フィート(259m)あっても
船は左右方向は もちろんですが 前後方向にも揺れるのです。
船が揺れるという事は飛行甲板の高さが
変わるという事ですから 経験の浅いパイロットや
被弾機などは難関になりますね
これを船体長を さらに長くして 揺れをゼロには出来なくても
揺れを少しでも抑えて あるいは 揺れを よりゆっくりした物に出来れば
着艦しやすくはなるでしょうね。」
「なるほど それも経済性を無視すればだね」
「はい」
***** 再び 赤城改・艦橋 *****
「シルちゃん 人魚さんや クラーケンの非難は終わってる?」
「はいなの~」
専用のシートに座るシルちゃんが 海軍式敬礼を真似て報告してくれた
海中で うっかり爆弾や魚雷が起爆しようものなら 衝撃波で
人魚さんも クラーケンも イチコロだから
取り合えず出番の無さそうな 両種族には避難して頂いた
さて、艦爆・艦攻は どうかな。
艦橋から見下ろしてみた
***** 赤城改・飛行甲板 *****
「そこーっ、エンジン暖機急げーーー」
「はい」
「我は盟約により炎の聖霊に願う・・・・・」
エルフさんが 彗星の近くで 火魔法を使ってエンジンオイルを加熱して
暖機運転の手間を省いている
「「「よっこいせーーーい」」」
ドワーフさん達が4,5人で 1トン程ある91式航空魚雷を
一式陸攻に装備させている。さすがはチカラ自慢のドワーフさん達だ
・・・・・みんな 一生懸命だけど 練度の低さは 如何ともしがたいよね~
***** 赤城改・飛行甲板上 岡隊長機 *****
「頼むから急いでくれ~・・・・」
ワイや、岡や
古参の整備兵に混じって エルフさんやドワーフさんが一生懸命やってくれはるのは
分かるんやけどなあ。
イラついたら負けや。先輩も言うとったな。
外の景色でも眺めたら 多少はイライラが収まるかな 思たんやけど
そこで ちょっとした事に気が付いたんや
景色が ほとんど上下しないんや
「船が揺れて無い・・・やて? こんだけ速度だしてるのにか?」
***** 再び 赤城改・艦橋 *****
フィン・スタビライザー
喫水下の船体から 飛行機の翼よろしく 傾斜を可変させられる羽を出す
これが船体の前後左右に4対ある。
これを船内に装備された ジャイロの傾きに応じて 羽の角度を変えさせ
水流を受けた翼が 前後左右の船体の傾斜を相殺する
この時代、実はあったりするんだけど まだ全ての軍艦・商船には装備されていないし
技術が未熟なため 効果が十分で なかったりする
しかし、僕達には魔導装置や21世紀の部品を使う事が出来る
これで シルちゃんの魔法も加えれば ほぼ揺れない船体の出来上がりだ
さて、風竜さん達はどうかな?
***** グラーフ・ツェッペリン上空 風竜さん達 *****
俺は風竜だ。名は無い。
先ほどから 下の奴らが 小さな金属片を撃ち込んでくるが それらは
前方に風魔法を集中することで 通り道を逸らす事が出来る
たまに 大きな金属片が飛んでくるが 大きいゆえに 避けるのはそう難しくは無い
***** ペーターシュトラッサー 防空指揮所 *****
「発艦まだか? 何? ドラゴンに邪魔されて
カタパルトから射出出来ないだと? くそっ」
***** グラーフ・ツェッペリン・艦橋 *****
儂、ヴァイストールは悩んでいた。
どうやら あちらもモタついているようだが
あのような巨体で進路を邪魔されようものなら
こちらは転覆しかねない。
ならば 魔力素材の積載量の少ない 本艦が囮になり
搭載量の多い僚艦 ペーターシュトラッサーを逃がすか・・・
どうやら それしか無さそうじゃわい
「ペーターシュトラッサー に発光信号。『奥の手を使え』とな」
***** 赤城改・飛行甲板上 魔改造・一式陸攻 *****
バルルルルル・・・・・
「お先に」
***** 赤城改・飛行甲板上 岡隊長機 *****
バルツ・・・バルッ・・・バルバル
俺の乗る彗星は いまだエンジンが掛からへんのや
「・・・水冷エンジンは整備が難しいんかいな・・・」
快調に発艦する 一式陸攻を 羨ましく思うた
***** 再び 赤城改・艦橋 *****
レーダー担当のエルフさんが
「一番遠くにある空母から 魔法を使う気配がします」
くっ 何か企んでるか。少々甘すぎたかな
「一式陸攻に連絡。目標 ペーターシュトラッサー。撃沈も止む無し」
それから ええと
「シルちゃん 20センチ砲 発射準備。目標 前方の両空母」
「はいなの~」
***** 赤城改 艦内・50口径3年式20センチ砲 砲塔内 *****
「照準は お姫さんがやって下さる。砲弾装填急げ~っ。」
***** 魔改造・一式陸攻 機内 *****
俺だ 三宅 進だ
時間優先で ペーターシュトラッサーを雷撃しろとの命令だ
相手は航空母艦。真後ろから狙う格好になるけど・・・絶対当ててやる
ただ相手は 30ノット超えの空母だ。
魚雷の性能を考え ギリギリまで接近して雷撃したい
チュイン・・・チュイン・・・ガガガガッ ガン ガン ガン
敵の防空機銃弾が 機体の外板を掠め そして正面からも叩かれる
改造前の この機体だったら もう撃墜されてるな
何て言ってたかな?
セル・・・セルロー・・・セルロースやったかな?
セルロースなんとか言う材料で この機体は補強されていて
なんでも2,30mmくらいの弾なら貫通しないらしいぜ
俺は隣の相棒。三越 学に聞いた
「なあ この機体の使ってる素材って 何だったっけ?」
「なんだよこの生きるか死ぬかって時に・・・セルロース・・・」
ガンッ、キンキンキン、チュイン
「・・・ファイバーだよ。」
跳弾の音で良く聞こえなかったけど
セルロースなんとかファイバーだったな
「そうやったそうやった ありがとう」
「ほら、それよりも攻撃」
「分っとる。よし、軸線に乗った。 魚雷投下っ!!」
俺は魚雷投下スイッチを押した
機体が不意に グイっと持ち上がる。魚雷が投下された証拠だ
「よし離脱」
今日も相棒の三越 学と 息の合った操縦が出来たと思う
***** グラーフ・ツェッペリン・艦橋 *****
「本艦はどうなっても 構わんっ、あの巨大艦の進路を妨害しろっ」
本艦は巨大艦と速度を合わせ、進路も巨大艦に合わせていく
***** 再び 赤城改・艦橋 *****
「グラーフ・ツェッペリンと思われる艦船が こちらに接近してきます」
くそっ 捨て身の作戦か
「こちら20センチ砲。いつでも行けます」
艦橋内のスピーカーから 20センチ砲の発射準備が出来た事が報告された
「シルちゃん撃って」
「あい、はっちゃ~」
旧・赤城から移植された 単装・50口径3年式20センチ砲 6門が火を噴いた
***** グラーフ・ツェッペリン・艦橋 *****
ズドーーーーーン
「左舷被弾、対空機銃と15センチ砲に被害」
「カタパルト損傷ーーっ 発艦不能」
「構わん 本艦をぶつけろーーーっ」
***** 赤城改 艦内・50口径3年式20センチ砲 砲塔内 *****
「次弾装填急げ~」
***** ペーターシュトラッサー では *****
ズドーーーーーーン
轟音と共に 徐々に船足が落ちていく ペーターシュトラッサー
「艦尾に雷撃。推進器に何らかのダメージあーーーりっ」
魔改造・一式陸攻が放った魚雷が 4つあるスクリューのうち 2つにダメージを与え
さらに艦尾の その他の機器にタメージを与えた
ペーターシュトラッサーの不幸はこれで終わらない
ドドドン・・・・・ドーーーーン
艦首付近 喫水線の辺りに 続々と破孔が開いた
赤城改からの20センチ砲が ペーターシュトラッサーの航行能力を
徐々にではあるが 確実に削ぎに掛かっていた
***** ペーターシュトラッサー 艦橋 *****
「このままでは航行不能になります」
「構うな。転移魔導具 発動急げ~」
***** 赤城改・飛行甲板上 岡隊長機 *****
バルッ・・・バルバルバル
「まだいかんな、しゃーない 2番機・甘田。指揮を取れ」
「こちら2番機、了解。 発艦します」
間に合ってくれや~
***** 赤城改・艦橋 *****
「グラーフ・ツェッペリン 接触します」
くっ
「総員何かに掴まれ~」
50万トンの船体に3万トンちょっとの質量が ぶつかっても
たかが知れてるかもしれない。でも相手は スピードを殺さずブツけて来た
ドスンッ・・・ギャギャギャギャギャ ギャリギャリギャリ・・・・・
本艦・赤城改は 鋼鉄のほか 御神木、
世界樹から精製したセルロースマイクロファイバーで造られた補強材が
船体外板の内側から 船体強度を大幅に高めている
そして木材由来の素材が 森でしか生活しないエルフ族に快適さを もたらし
そして驚異的な魔法備蓄量を可能にした
さらに御神木製・セルロースマイクロファイバーから放射される魔力により
船体を構成する鋼鉄は 段々と魔鋼へと変化し 尋常ではない強度を持ち始める
到底 人間界では作れない素材たちが グラーフ・ツェッペリンに不幸をもたらした
水中で船の揺れを抑える フィンスタビライザーの羽根。
ドワーフ族謹製のソレが 巨大な刃物と化して 相手の船腹へダメージを与えた
・・・いやそれ 武器じゃないんだけどね。
***** 第634航空隊 2番機 甘田 機 *****
「3番機、4番機、5番機 離艦・・・・・」
***** 赤城改・飛行甲板上 岡隊長機 *****
「ん? 今揺れたかいな?」
***** グラーフ・ツェッペリン・艦橋 *****
ガガガガガガ・・・ギギーーーーーーーーーーーーッ
なんだこの音と衝撃は?
「傾斜発生。砲塔群 使用不能」
「飛行甲板 歪みが発生。航空機の運用は危険です」
「構うな そのまま押せ押せ~~」
「こちら機関室 船体に亀裂が発生。浸水が始まっていまーす」
「なんだとっ!!」
***** 赤城改・艦橋 *****
「こちら20センチ砲。装填完了」
「うぷ・・・あい、はっちゃ~。」
今 微妙に揺れたかな?
ちゃんと当たると いいけどな。
***** ペーターシュトラッサー 艦橋 *****
「転移魔導具 発動します」
ペーターシュトラッサーの周りに魔法陣が浮かび上がり 魔法が発動。が、
ドドーーーン
魔道具の発動光が 光った瞬間、赤城改からの砲弾が艦橋に命中。
そして航空機を上げ下げするエレベーターにも吸い込まれていった
しかし転移魔導具は 発動し、ペーターシュトラッサーは 魔法世界から消えた。
***** グラーフ・ツェッペリン・艦橋 *****
「やったか・・・・・降伏する旨を あの巨艦に伝えろ」
「はっ」
ほどなくして 昨日会った青年大佐が儂の前に現れた
「ほれ好きなだけ臨検するが良い。本艦は浮いておるのが やっとじゃわい」
しかし青年大佐は
「貴艦は当方の駆逐艦で曳航します。ご協力をお願いします
それから親衛隊所属の皆さんは 後ほど尋問させて頂きます」
そう言って彼は去っていった
戦力的には あちらが勝ったはずなのに
何故か負けたような顔をしておったのが気になったの
***** 赤城改・艦橋 秋葉尾 *****
ペーターシュトラッサーを逃してしまった
恐らくは航行不能だろうけど 積み荷があるとしたら・・・その時点で僕らの負けかな
そんな事を考えながら 艦橋に戻ると
「ひくっ・・・ひくっ・・・」
専用シートのシルちゃんを見ると 泣いていた
「どうしたんだい シルちゃん?」
「ひくっ・・・いっぱい・・・いっぱい・・人が死んだの・・・ひくっ」
うーん グラーフ・ツェッペリンが体当たりしてきた時、わずかに揺れたのが原因で
船体が 極々僅かではあるけど 揺れてしまった
船酔いに極端に弱い シルちゃんには そんな微細な揺れでも致命的だったんだね
不要な殺生を良しとしないエルフ族。その長たるシルちゃんは
船体だけにダメージを与えるべく攻撃していたけど
揺れのせいで照準が狂ってしまったんだね
しかしそこは自然に愛されたエルフ族。狙いが外れてもシルちゃんの不利には働かず
急所を外すつもりが 逆に急所を モロに打ち抜いてしまったらしい
・・・・・でも
「シルちゃんは何も悪くない 悪くない。不幸な事故なんだ」
「ひくっ・・・ひくっ・・・」
「だから いっぱい泣いて良いんだよ。だけどその前に、分かるね?」
「(コクッ)・・・操艦を・・・ひくっ・・・戻しまちゅ」
「はっ、操艦 貰います」
総舵手がシルちゃんに敬礼する
一方、シルちゃんは
「ひくっ・・・びええええええぇぇぇぇぇ」
シルちゃんは僕に しがみ付いて 日が暮れるまで泣き続けた
***** 再び、ハワイ・真珠湾にあるアメリカ太平洋艦隊司令部 *****
コンコンッ
「入れ」
「重要な連絡事項かと思いまして
会談中 失礼かとは思いましたがお持ちしました」
「そうか、ご苦労」
「はっ 失礼します」
ワシントンから?
なになに 日本が世界に向けて発表?
・・・・・なんだと!! エルフ国と同盟?
私は首を振る
「どうやら日本のカレンダーは年中 4月1日・エイプリルフールらしい」
「大将閣下 どうなさいました」
ほら読んでみろとばかりに 書類をヒラヒラと振り ハルゼーに渡す
「はははっ、どうやら日本もアメリカンジョークが分かって来たようですな」
そう言いつつ 書類をどんどん読み進めるハルゼー
それが 数枚目の書類で目が止まる。
「大将閣下 これを」
「なんだね」
「例の巨大艦に関する事では無いですか」
言われて私も読み進める
なになに・・・ 船籍・エルフ国だと? ふざけているのか?
「大将閣下、こちらに諸元が書いてあるようです」
ハルゼーの指差したところを見ると確かに書いてある。
どうやら日本とエルフ国という連中は 度し難いほど お人好しらしい
「「 なにっ、全長 800メートル。排水量 50万トンだとっ 」」
勤務中ではあるが 私は 気付けに酒が飲みたくなってきた
***** 数日後 *****
***** ドイツ・狼の巣 *****
儂、アドルフ・ヒトラーは 魔法界から戻って来た ペーターシュトラッサーに関する
報告を聞いておった
曰く、
推進装置・操舵装置に深刻な損傷があり また船体には多数の破孔があり
発見が遅れていれば 沈没していた恐れがあった
艦内にも誘爆を引き起こした形跡があり 積み荷の8割が消失。または破壊
艦橋は原型を留めず 乗員の大部分が死亡し 生き残りは僅かである
そうか・・・・・切り札たる 転移魔導具を使って この程度の成果か。
儂は 残り少なくなった 手帳のページを見て ため息を付いた。
当なろう小説は実在する個人・団体等とは一切関係御座いません
ご意見・ご感想・ブクマ登録・評価お待ちしております
更新情報: 20170917
加筆しました 2割増しくらい
尚、作中に出てくるセルロースマイクロファイバーですが
『セル〇〇〇ナノ〇ァ〇バー』の事なんですが、大人の事情に配慮し別名で書いております
また、鉄との熱膨張率の違いなどは魔法で何とかしたとご理解くださいw
次々回予告(次々々回?)
ヴァ少将:「統帥権干犯とかじゃないのかね?」
辻中佐:「小官とした事が・・・」
『訓練編 / 赤城改・強襲』の予定です・・・・・が その前に回想をちょっと入れるかもです
掲載日は未定ですw




