EP:9 マーティスという男
扉を開けた先に待っていたのは、まっすぐ奥へと伸びている薄暗く、怪しげな雰囲気を漂わせた廊下だった。
——いらっしゃい。
どことなく聞こえてきた歓迎の声は、俺を奥へ進むように促した。
石の床をコツコツと音を立てながら奥へ進むと、そこには先ほどの声からは想像もできないほど屈強な体格の老爺がいた。
「よく来たね。ワシはマーティス、この加冶屋の主人さ。今日はどんな用で来たんだい?」
入り口で聞いた嗄れた声でマーティスと言う老爺が用件を聞いてきた。
「あぁ、武器を新調したい。」
「ほほぅ、どんな種類の武器だい?」
「剣で頼む」
「なるほど、お主にぴったりの剣を作ればいいのだな?」
「ああ。できるか?」
「できるが、金はあるのかね?」
マーティスと話していると、少しだけ周りの空気がピリッとした。勿論、1ヶ月分のお金だからある程度は持っているはずだ。
余談だが、この世界での通貨は【ウル】と言う。市場で見た価格設定だと、日本円とウルは大した通貨の差は無いらしい。貨幣には
【ウル銭】…1円分
【ウル銅貨】…10円分
【ウル銀貨】…100円分
【ウル金貨】…1000円分
【ウル大金貨】…10000円分
【ウル白金貨】…50000円分
【ウル虹貨】…100000円分
がある。
なかなか多いので覚えるのも面倒くさくなるだろう。ちなみに虹貨には、虹鉱石と言う、虹色に輝く物凄く貴重な鉱石が使われているらしい。
さて、再び場面がマーティスの加冶屋に戻る。
「これで足りるか?」
俺は袋から徐ろに【ウル大金貨】4枚に【ウル白金貨2枚】を取り出した。すると、周りの空気がフッと緩むのを感じた。
「ギリギリといったところだね」
マーティスは微笑みながら言った。
「フッ、交渉成立だな」
「剣が完成するまで3日ほどかかる、だから3日後にここに来い、最高の剣を提供してやるぞ。」
——最高の剣。その単語が出てきて俺は思わず笑みをこぼし…
「あぁ、楽しみにしておくぞ」
とだけつぶやき、入るときに通った廊下を逆方向に進み、鋼鉄の扉を開けた。
はい、ついに出ました。異世界通貨!!どのタイミングでこの解説入れるか本当に迷いました!