EP:8 大通りの喧騒
中心に冒険者ギルドが鎮座し、その正面に石畳が敷かれた大通りが伸び、周りには色々な店や路地裏へと繋がる曲がり角が存在している【アカリナ】と呼ばれる町は俺が到着してから1ヶ月ほど経った今、燦々と照らされる日光の下、活気の渦に包まれている。
あの日、『オリバー』と名乗った馬車の青年の下で手伝い等をして、生計を立てている俺は、大通りへ買い物に出かけている。
「面倒臭え……」
そう、俺は人混みという物がキライである。何故キライかって?騒々しいからだ。俺は静かなところで買い物がしたいのだ。
「てめっ!!今何しやがった!?」
「あァ!?おめぇが先にふっかけてきたんだろうがよ!!」
……ほらな、始まった。
この手の喧嘩が始まるともう買い物どころでは無くなってしまう。それもあの二人に便乗した観客達が大乱闘を起こすからだ。
……いや、普通そこは周りの人が止めに入るべきだろう。え?俺?……
兎に角、乱闘が収まるまで俺は比較的静かな場所へと移動することにした。
乱闘が起きた大通りを脇道へそれると、そこは不気味な雰囲気を漂わせる路地裏が伸びている。しかし、路地裏と言うものは意外な名店を隠しているものである。闇市のようなぼったくり料金ではあるが、品物はピカイチな店ばかりが建ち並んでいる。俺は大通りから避難するついでに路地裏を探索することにした。
路地裏を少し進でいると黒い鋼鉄でできた扉を見つけた。俺はその店の看板を見て足を止めた。
【加冶屋マーティス】
そう書いてある看板を読み、俺はふと自分の剣が刃こぼれしていることを思い出す。
…多少苦しいとは言えど、この一ヶ月でそれなりに稼いできたつもりだ。
俺は少し躊躇いながらも、重い鋼鉄のドアを押した。
ズズズッ…と音を立てながら開いた扉の先で待っていたのは
——いらっしゃい
と言うしわがれた老爺の声だった
平日は色々と用事があるんでなかなかあげれる機会が少ないかもです。