EP:5 決着
「ギァァァァァァァ!!!」
大ゴブリンは痛みで叫び声を上げ地面をのたうち回っている。その緑の皮膚に剣を突き立てるとまるで皮膚が剣を受け入れるかのようにするりと突き刺さる。そして突き立てた剣を皮膚から抜くと緑色だった皮膚が赤色に染め上げられる。
あたりに広がる鉄のような臭いが俺の鼻をくすぐる。ってかゴブリンの血って赤いんだ…
——3分後、そこには剣で大ゴブリンを斬り裂く俺と身体の至る部位を斬り裂かれ、満身創痍の大ゴブリンがいた。身体の至る所から血を流し、今にも息絶えなそうな大ゴブリンは、お前も一緒に道づれにせんと言わんばかりに最後の力を振り絞り、俺に攻撃を放ってきた。
無論、俺はそれを交わし、勢い余って前に倒れこむ大ゴブリンを冷ややかな目で見つめる。
大ゴブリンは絶望に顔を染め、そのまま目の光を失っていった。
っというかこの状況を見られると色々とまずいので俺はそそくさと退散することにした————
————どうやらあの場所から離れて正解だったようだ。さっきまでいた方角から、驚愕の叫びが聞こえてきた。
しかし、人が通るとなると、人里が近いのかもしれないな。町であれ村であれ、とにかく俺は疲れた。適当にホテルでも探して入るか………あれ?俺、お金は?
「マジかよ…」
……最悪の事態だ。財布がないのだ。財布さえあればATMからお金が降ろせるのに。いや、もう変な事起こり過ぎだろ…目が覚めたら変なとこにいましたーって、異世界転生かよ…
兎に角、さっきの林道へ戻ることにする。少なくとも人通りはありそうだ。なんなら出会った人に一晩泊めてもらうって手もある。
なんにせよ、何もしないよりはマシだろう。
俺は疲労と面倒くささで重い足を上げ、今来た道を引き返すことにした。
連続とうこーう!