EP:3 遭遇〜大ゴブリン〜
「何なんだ、一体…」
そう呟き、背後から何とも言えない不安感に襲われた俺は先程まで、緑色の人形や、青色のゲルと戦っていたところから、だいぶ離れた開けた道を駆けていた。
いつの間にか霧は晴れ、眩しいほどの太陽が森の木々を照らしている。
「ギヘヘヘヘェ!!」
下品な叫びとともに、先程の緑色の人形と同種の生物が前方よりこちらに飛びかかってくる。
「ハッ!」
戦い方に少し慣れてきた俺は、躊躇なく、剣を振り下ろす。
「ギャァァァァッ!」悲鳴とともに、真っ赤な鮮血を撒き散らし、地に倒れ伏したソレを一瞥して、背後からの不安感から逃げるために再び走り出す。
その後も、緑色の人形とゲルが何度も何度も何度も何度も襲いかかって来たが、ギリギリのところでそれを退けた俺は、先程から、背後を占拠する、不安感の正体と対峙することとなる。
「グオオオオオオッ!!!」
木々や、地面を震わせるほど一際大きな、雄叫びを上げ、大きな足音を立てて背後から何かが、急速に接近してくる。
接触するところ間一髪で躱し、そいつを目で確認する。それは、一際大きく、一目見ただけで、その強さが伺える巨大な小邪鬼だった。
「ゴアァァァッ!!!」
大小邪鬼は雄叫びをあげ、こちらへ突進してきた。
「ギァァァァ!」
「しまった!!」
いつの間にか小邪鬼達に周りを包囲されていたようだ。
次々と襲いかかる小邪鬼達の猛攻に必死に躱しながら思考をフル回転させた俺はある事に気がついた。
先ほどまでの小邪鬼達と違い、この小邪鬼達は連携が取れている。一撃を繰り出してはその場から離脱し、反対側のゴブリン達が一気に襲いかかる。
「ギギャァァア!!!」
ドシンドシンと音を立てながらこちらへ突進してくる大ゴブリンの動きが速くなった。どうやらそのまま体当たりするようだ。
「ギッ!」
途端に小邪鬼達がその場から退いた。どうやら大ゴブリンがこちらへ来るまでの時間稼ぎをしていたようだ。
小邪鬼という拘束が無くなった今、俺の両手は自由だ。普通なら剣を抜き、応戦するだろう。しかし俺はーーー
後ろを確認しつつ敢えて襲いかかる巨体を躱した。
確認した時、俺の視線の先にあったのは、ただジッと、決着を見守る、先程の小邪鬼達だった。余程の勢いがあったのか大小邪鬼はそのまま止まれず、案の定背後にいた小邪鬼達に衝突した。
俺の知っている小邪鬼とは、身体能力は中々高いものの、知能指数が著しく低い敵キャラクターである。実際この小邪鬼達も同じ様に知能指数が低いようだ。
吹き飛ばされた小邪鬼達はそのまま木にぶつかり、ノックアウト。
大小邪鬼はふらつきながらもこちらを剥き、血走るような眼でこちらを睨みつけている。
「はぁ…」
やれやれ…という仕草をしながら、俺は剣を抜き、大小邪鬼に向け、頭に浮かんでくる通り、剣を構えた。不思議と様になっているようで、大小邪鬼が一層警戒を強めたのを感じた。
さあ、決着をつけようじゃないか。
なかなかキリがいいところがなくてかなり長くなってしまった…と思う!