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ケモミミマッサージ

親愛なる君へ。


 やぁ、先日もまた有意義な返事をありがとう。


 ヘリオス=ターレットだ。略さないでくれると幸いだ。


 以前のケモミミ給仕なのだが、シャイなのか、中々連絡をよこしてくれないので直接店まで出向いたのだが、彼女は辞めたという。何でも身内に不幸があったとかで田舎に帰ったそうだ。他の似たような店で彼女に似た者を見たような気がするが、まぁ、気のせいだろう。彼女の身内の冥福を祈ろう。


 さて、最近肩こりが酷いので、城下に出来た新しいマッサージ屋とかいうところに行って見たのだ。


 そこで私は運命の出会いを果たした。


 彼女はマッサージ屋で働く女性で、丸いケモミミと同じく円筒形で縞々の尻尾が特徴のケモミミマッサージ師だった。

 

 初めてこういう店に入って緊張している私を笑顔で出迎えてくれたのだ。


 おっとりとした、おおらかな女性であった。背も高くスタイルも良い。少しばかり目のクマが気になるが恐らくメイクだろう。そうでなくても日夜人体の体をほぐす研究をしているのだろうから、クマもできるというものだ。

 実際彼女の施術はこの世の物とも思えぬほど、痛気持ちいいものだった。

 彼女の一押し一押しで、人体の血脈が活性化していくのがわかった。


 私はすっかり彼女の指のとりこだったが、最後にその尻尾でぽんぽんと叩いてくれる尻尾マッサージはもう最高だった。


 私は思いを馳せる。

 彼女を嫁にもらったならば、毎晩あの尻尾マッサージをしてもらえるのではないか、と。


 支払いの際に、私は思わず言ってしまった。


「私の専属になってくれないか」


と。


 彼女は


「あらら」


と、口に手をあててころころと笑っていたが、その仕草もまた愛らしい。


 専属になってくれ、ではマッサージ師としてお抱えする事にならないか、って?


 ふふ、君の心配ももっともだけれど、こうやって外堀を埋めていく方法を学んだのだ。いつも行き当たりばったりでは、理想の嫁をもらうのはいつになるかわからないからね。


 彼女は笑うだけで明確な返事をしてはくれなかったが、私は確かな手応えを感じていた。


 まずは彼女のためのマッサージルームを用意しなければなるまい。そして、契約内容についても確りと話して、決して彼女の損にならないようにしていかなければ。そしてゆくゆくは私の嫁として専属契約をしてもらうのだ。


 これから忙しくなるからしばらく手紙を送ることはできないだろうが、君にも私の、いや私達の幸せを祝福してもらいたい。


 それでは、また


ヘリオス=ターレットより

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