王女の侍女
親愛なる君へ
やぁ、先日はありがとう。
そうか、もし君が言う事が本当であれば、それは恋、なのだろう。けれど、それではこれまで私が焦がれてきた女性達への私の気持ちというのはそうではなかったのだろうか?
ヘリオス=ターレットだ。
彼女についてわかった事がある。
どうやら彼女は最近噂の王女の侍女のようだった。
王女の周りには人間だけではなく、亜人の侍女も多い。
先日話したと思うが、彼女は亜人の登用にも迷いが無く、優秀であれば種族に関係なくすぐに取り立てる。むしろ最近では王女の周りは亜人だらけだという話もあった。
そんな中で数少ない人間の侍女なのだろう、それ故に窓の花、となっていたのかもしれない。とはいえ、侍女ともあろう立場の人間が王女の傍を離れて窓際でグラスを傾けているのはどうかとも思うが、そのおかげで私は彼女を見つけることができたのだから、とがめる事もできないだろう。
もしこの気持ちが、君の言うように本当に恋心であるのだろうか?
窓の花である彼女の事は確かに頭から離れないし、彼女の事を考えると食事も喉を通らないが、しかし、道行くケモミミに心ときめくのもまた事実なのだ。
確かめようと思い、王女とその周辺を調べたのだが……たいした情報が出てこない。流石に王女ともなるとその辺は確りしているらしい。
少ない情報の中でわかった事は王女の予定くらいなものだ。窓の君が、先日のパーティのように王女についてくるかは全くわからない。仮に重用されていたとして、いやあの態度だ、重用されている、とは考え難いが……
ともあれ王女の予定を追ってみようと思う。その先に彼女がいる、と思う。
そして確かめる、私の気持ちを。
相手は侍女とはいえ、王女付だから、どうなるかはわからない。下手すれば首が飛んでしまう可能性もあるが、私は確かめずにはおれないのだ。
次はいつ手紙を送れるか、もしかしたら送れなくなるかもしれないが、私の行動を見守っていて欲しい。
それでは
ヘリオス=ターレットより