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ケモミミ冒険者

親愛なる君へ


 やぁ、先日は複数の女性との付き合い方の助言をありがとう。まぁ、必要なくなっちゃったけどね、ははっ。


 ヘリオス=ターレットだ。略称はヘタレです! でも呼ばないでね! えへっ!


 はぁ、正直に言おう。今回私のハーレム計画は日の目を見ることになった。ケモミミ食堂の買収に成功し、我が屋敷のすぐ傍に猫のスプーンと言う名の食堂がオープンした。毎日盛況だよ。


 はぁ……で、だ。ハーレムなんだけど……


 彼女らは、彼女らではなく、彼らだった。


 通りで皆スレンダー美人ばっかりだと思ったよ。特に私に最初に接客してくれた奴は、声変わりがまだだったらしくて、完全に女の子。いや、男の娘、というのだったかな。

 なんというか、皆積極的でね、はは……さっきも食堂の隣に設えたハーレム部屋で順番のクジを回しているみたいだったよ。


 はは……


 そんなわけで私は今逃亡生活をしている。

 この手紙から足がつくことはないだろうが、十分に注意して欲しい。


 ところで、この逃亡生活だが、そう悲嘆にくれたものでもない。


 何故なら私は運命と共にいるからだ。


 逃亡生活のためには強い用心棒が必要だ。

 そう思い立って、冒険者ギルドで紹介されたのが、彼女だ。


 凛々しい顔つきに、獲物を狙うような鋭い目。だけれど丸くてふさふさな耳に同じく丸い尻尾があって、鍛え上げられた肉体の美しさに、顔まで美しいと、実に素敵な女性であった。

 紹介された私は二つ返事で彼女と契約し、今は城下を出て西へと進んでいる。


 彼女は強い。

 賊や危険な動物などをあっという間に排除してくれて、しかも料理も上手い。

 野宿をする事も多いが、彼女のおかげで安全で安心な美味しい旅を続けていられる。


 しかも、だ。彼女の寝顔はとても可愛いのだ。

 思わず見とれていると、その視線に気付いて剣を抜いて私を見つめてきた。


「出来るとはおもわねぇが、襲ってきたら即殺すからな」


 彼女は少々シャイなようだ。見つめられて照れ隠しに強がっていただけなのだろう。勿論襲うなんて無粋なマネはしない。時間ならたっぷりあるのだから、ゆっくりと彼女と愛を育めばいいのだ。

 

 そう、まさに愛の逃避行。行き着く先は小さな聖堂。そこで二人は永遠の愛を誓い、人生と言う逃避行へと身を投じるのだ。愛を誓いあった二人の前に現れるそこは、どんな人でも安らぎを得る事ができると言う楽園ガンダーラ……


 追っ手があるかもしれないから、しばらく手紙を送る事はできないと思うが、君にも、私の、いや私達の愛の逃避行を応援して欲しい。


 それでは、また。


ヘリオス=ターレットより

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