八十七巻目 ここが、聖地か・・・・・・
「時間旅行はすでに、完成をしているのです。ただ、皆さんが知らないだけなのです。皆さんも、我々私自身もその現実を直視し向き合わなければならないと気なのです」
まったく、こんなおかしな話をいきなり現実だと突きつけられて信じるやつはよっぽどの馬鹿だろう。本当に、世界中の人間てものは馬鹿なんだな。
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「いやさぁ、定期特別公演のテーマ考えててさ・・・だって私ステージの作家じゃん?」
この犬は見かけによらず頭だけは良く、この日本の国の中でも一番といえる国立大学を何ともこれも不思議なことだがその学部の中でトップの成績で卒業してこの私がリーダーをしているアイドルグループの初期メンバーに所属するまで文部科学省の官僚を務めていたという。定かではないけれども、凛から聞いた話によるとそんな感じらしい。
そして、これまた不思議なことに一時期作家をやっていた時期があったそうで、書いていた小説やら書籍は飛ぶように売れて、貯金もたくさんあるらしい。だけれども、本人から聞いた話によると、「売れる小説を書くのがつまらなくなった」ということで、小説やら書籍を書くのをやめたらしい。まったく、訳が分からないよ。
だけれども、「やめたけれどもそれは売れる小説を書くのをやめただけで、普通の物語は別にやめませんよ」との持論を展開していて、ステージ構成や犬の衣装センスをフルに活用してロリポップのステージ衣装も手掛けている。一種の天才といっても過言ではないけれども、日々の言動とその天才的活動を足し算してしまうと、どうにも日々の言動のマイナスの部分が多すぎて、結果として“やばいやつ”という風になってしまう。犬にはかわいそうだけれども、これが彼女を見ている周りのだれもが思っている思いなのだ。もちろん、私は彼女のことが嫌いではない。好きでもないけれどもね。
彼女のことを嫌いと言っている人を私はまだ見たことがない。きっとそれは、人間っぽさがなくて本当に動物的な犬的な可愛さしかないから、嫌いにはなれないんだろうな。もしこれで人間っぽさが見えた瞬間、犬はうざい天才になり下がってしまうからな。
「だからね、りんりん監督にね時間旅行ってのをテーマにしようかなぁ~って思って意見したら、『美希が一番祖のテーマに詳しいはずだよ! だって、過去から来た人間なんだから!』って豪語してて、監督の話だから嘘にも思え無くてさ・・・」
あぁ、なるほど。犬がいきなりこんな変な話をすると思ったら、裏にいたのは凛だったのか。なら、話は早いな。
「それは、凛の嘘だから忘れなさいよ。まったく、私が過去の人間なわけないじゃないの!」
「そうだよね~!」
犬は納得し、また明るいテンションに戻りニコニコしながら私を見続け始めた。
やっぱり、犬はこうじゃないとね!
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「生贄殿」
「神様」
「ついに、つきましたな」
「えぇ・・・ついに・・・」
ここが、聖地か・・・・・・。




