七十八巻目 どこに行ったらいいものだろうかなぁ・・・
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「いらっしゃいませ、お客様は何名様ですか?」
「二人です」
「禁煙席にしますか? 喫煙席になさいますか?」
「禁煙席でお願いします」
「それでは、お席へご案内いたします」
軽快な動きを見せる黒と白を基調としたかわいらしい洋服を着ている女の子。そして、それを見ている彼はにこやかだ。というか、なぜだか男前だ・・・。
俺は何も言えずにされるがままに、席へと案内された。
「こちらがメニューでございます」
女の子がメニューを机にメニューを置いていく。
「それでは、ごゆっくり」
一礼をして、女の子は奥へと帰っていた。
そして帰っていた後、彼が「どうですか?」と聞いてきた。
「どう・・・と、言われてもなぁ」
どうですか? という問いの意味が全く分からない。もしかしたら、現代人には場面における「どうですか?」に対応する言葉が存在するのかもしれないが、俺は過去にこういう場面に居合わせたことがないので、理解するのが難しかった。というか、理解できねぇよ。
「まぁ、答えられないのも無理はないでしょう」
なるほど、答えなくてもいい質問だったのか。現代人の考えることは良く分からんよ。
俺がそんなことを考えてるのを気にせず、彼は話し始めてしまった。こういうところはジョンに似ている。
「今我々がいる店こそ、日本の現代の看板文化“サブカルチャー文化”の一角を担っている“メイドカフェ”の元祖であるお店なのですよ・・・ヌフフ」
最後に変な笑いさえなければ、しっかりとした話だったので非常に残念だ。・・・いや、しっかりとした話ではなかった。うん。
「生贄殿」
彼が俺の名前を呼ぶ。
「昼は、もう食べましたかね?」
「いや、まだ食べてないけれども」
そういえば、まだ昼をまだ食べていなかったな。
「それならば、カレーを食べましょう。ここのカレーは絶品なんですよ」
なぜカレーが絶品なのかは分からない。というか、なぜここでカレーを食べるのかがわからない。だけれども、ここは彼に任せよう。ラジオ会館と同じ感じで、楽しめるかもしれないからな。
※※※※
「美希さん、まだ時間かかるんでお昼でも外で食べに行ってくればどうですか?」
今度は、違うスタッフの人が話しかけてきた。壁にかけられている時計を見てみるとすでに十二時を超えていて二時になっていた。
思い出したかのように、お腹がすき始めてしまった。そして、何かお腹に入れなければいけないと思うようになった。
「う~ん・・・じゃあ、そうしようかな!」
「じゃあ、ステージが始まりそうになったら電話しますね」
「よろしくね!」
スタッフさんに、お昼を外で食べることを伝えたが、どこに行ったらいいものだろうかなぁ・・・。




