七十四巻目 少ない予算で色々なことをやりくりしているような旅番組
今回は、次回のためのつなぎの話なので量は少なめです。
そんな考えをしていた時、ちょうどテレビでやっていたのがたぶん、少ない予算で色々なことをやりくりしているような旅番組だった。いつもであれば、一番聞き流すであろうその番組に、俺はちょっとだけ好奇心を持ち始めた。
テレビのほうを向きじっくりとその番組を見てみると、今日は俺がいつも働いているところがある街、秋葉原に旅人が行っているではないか。
誰もが知っているような情報から、一部のマニアしか知らないような情報まで、ありとあらゆることを扱っている。その情報もとに旅人が赴き、「あぁ、すごいですね」とか「いや~、素晴らしい」とかそんなことを言っている。
番組の内容としてはとてもつまらないものだったが、俺の行動力を発動させるにはこれ以上ないほどの影響力を与えた。
つまり、俺はこう思ったわけだ。
「あぁ、秋葉原に行くか」
仕事でもないのに秋葉原に行く。何をするかは全く決めていないけれども、まぁ、少し位は楽しめるだろう。だってサブカルチャーの発信地なんだからね。
行き当たりばったりも、人生には必要だと思うしね。
※※※※
「すまんが、全く状況が呑み込めんのだ。南蛮人二人よ、今がどういう状況なのか説明をしてくれないか?」
笑いあっている白人とジョンの二人に割って入るように、男は大きな声で聞いてきた。
「まったく、自分で状況確認もすることが出来ないんですか?」
「まぁまぁ、普通は誰でもこんな感じになるに決まってるじゃないですか」
イライラしながら話す白人をなだめるように、ジョンは優しく肩を叩きながら言う。
その様子をボーっとしながら男は見ていた。
男がボーっとしながら見ていたことに気づいた白人は、「何見てるんですか? 見せ物とそうでないものの違いも分からないんですか?」と強く男を非難した。
避難された方は、当たり前だが気分は良くないだろう。男はムッとした顔で白人を見返す。
ムッとされた白人は、男を睨み返す。
そしてその二人の様子を見たジョンは、最初のうちは心配そうに見ていたが、時間がたつにつれて笑い始めた。
笑い始めたと同時に、睨み合っていた二人はジョンのほうを睨んだ。




