七十二巻目 お帰りなさい、ジョンタイター
結局のところ俺が飲んでいるものはお酒で、この時代ではポピュラーな飲み物であるビールというものだ。夏に飲めば気分爽快! 冬飲めば、これまた気分爽快なんだ。
最初のうちはビールは飲めなかった。コーヒーも最初は苦手だったんだ。あの、独特の苦みが苦手でねぇ・・・。だけれども、何度か飲んでいるうちに着実にその苦みのとりこになってしまったんだよね・・・もしかしたら、危ない薬品が入っているのかもしれないけれども、そこらへんは気にしないでおこう。
危ない薬品で思い出したんだが、この前ちょっと頭が痛くなって、ジョンに「なんか薬ある?」ってきいたら、「疲労がポン! と取れる薬ならあるんですけれどもねぇ・・・」と言われたんだが、一体その薬っていうのは何だったんだろうな。ジョンが言ってたことがものすごく怪しかったから、結局その薬を受け取ることはなかった。
もし、俺がジョンが言っていたその薬を飲んでいたらどうなってしまったのかな?
実際にはやってみたいとは思わないけれども、仮想の中だったらいつかはやってみたいな。
※※※※
「おっ、ふっ? こ、ここはどこ?」
突然男が立ち上がり、ろれつが回らない感じでそういった。
「ようやく目覚めたか・・・遅かったじゃないか・・・・・・」
白人は、男を軽蔑する目をやめ、ちょっとだけ男を心配するような口調で言う。
「あっ! お前は・・・」
「なんだか、ありきたりなセリフですねぇ、その言葉は」
白人は、男が放った言葉がものすごくありきたりなセリフだったので、そのような台詞を男に放った。
そんな台詞を聞くともなく、男は周りを見渡して「何だこの白い部屋は」とか「すごく甘い香りがする」とか、「腹が減った」とかいろいろとブツブツとつぶやいていた。
そのブツブツと男が言っている情景を白人が見て、また白人は男に対して軽蔑の目を向けた。
「なんで、私がこのような人間の世話をしなければならないんだ・・・」
白人がそのような台詞を呟くと同時に、白い部屋に一つだけある扉がガチャッと開いたのだ。
「ん、何事だ?」 男が、開いた扉の方を向く。
「おっ、あなたが新しくこっちに来た人ですかぁ~」
扉を開けた人間は、男の姿を見るなりそのような事を言った。そして、扉を開けた人間が言った言葉を聞いていた白人は、その言葉を聞いた瞬間に扉の方に体と顔を向け、背筋をピンっと伸ばした。とても姿勢がよくなった。
そして、冷や汗をだらだらと流し始めたのだった。
扉を開けた人間は、見るものを男から白人に変え、男を指さしながら「君が彼の担当でしたか・・・」と、白人に語りかける。
白人は、少し震えた声でこう言った。
「あなたが任命したんじゃないですか。私がこんな奴の相手を進んでやって出ると思いますか?」
それを聞いた扉を開けた人間は、フフフッとうざい笑い方をして、「もしかしたら、その時だけ心変わりをして進んでやって出たんじゃないですか?」と言う。
「まったく、あなたは変わりませんね」
白人はニヤッと笑った。
「変わらないことはいいことでしょう? ね?」
扉を開けた人間も笑う。
「お帰りなさい、ジョンタイタ―」
「えぇ、ただいま過去から帰省しましたよ」
ジョンは、大きく笑った。
今週の土曜日にでも、特別篇を書きます。
ぜひ読んでください・・・




