六十四巻目 り、履歴書?
「おぉ! よく言ってくれた生贄君!」
「はい、これからしっかりとご奉公をさせていただきます!」
俺は、凛もとい、凛様に深々と頭を下げた。
※※※※
もう、やだよ・・・この時代。凛にはこき使われるし、ジョンは頭が逝っちゃってるし、信長様は昔とは違う感じでおかしいし、友達はそんなにいないし、知り合いもいないし、テレビもつまらないし・・・。
そもそも、信長様をここまで連れてきたのは、凛さっき目で私に、「あとでその生贄っぽい子を連れてこい」と語りかけてきたからだ。なぜ信長様が生贄っぽい顔だと思うのかは本当に疑問だけれども、確かに、ちょっと昔の信長様とは違っていると思う。もちろん性格面では確実に変わっていると思うけれども、身体的というか、年齢的に非常に変わっているというか、若返っているように・・・思える・・・・・・。というか、なんで信長様は女性に変わってないんだ? どういうことなんだよ・・・信長様は男のままで若返って、私は、若返ったけれども、女になっていて・・・アイドルにも無理矢理ならされて・・・・・・。
昔やったことの無実の証明ができていないから、いやいや隠し事をしなきゃなんないしどうすればいいのだろうかな・・・?
※※※※
「とりあえず、明日でもいいから履歴書を持ってきてくれんかねぇ~?」
「り、履歴書?」
「あっ、そういう詳しい話は私が話しておきますね」
「んじゃ、美希に任せるね」
うれしいことに凛様は、私の事を採用してくれたらしい。ジョンが「雰囲気が明るい感じになったら、採用って感じですから、面接の時になったら緊張せずに頑張ってくださいね~」って言ってたから、採用で間違いはないだろう。
それに、履歴書という書類も書いてこいとも言われたし、これは確実に採用だろう。むしろこれで採用でなければ、もう働くことはないだろうね・・・その予定だ。
「んじゃ、また明日ね~生贄君」
「はい!」
凛様と俺は帰り際にそんな挨拶を交わして、俺は凛と一緒に秋葉原の明るい空の下へと出た。そういえばだが、ここは東京という町らしい。東京の中にあるのが、この秋葉原で、秋葉原があるのが東京といった具合だ。昔は、そこまで東京が有名だったとは俺の記憶の中では全くない。というか、田舎だった記憶しかないのだ。まぁ、本当のところはずっと、京都しか考えてなかったから・・・もしかしたら知らなかっただけかもしれないな・・・。
まぁ、そんなことはどうでもいいんだけれどもな。
美希と俺は、とりあえず家へと戻ることにした。俺の家にな。俺の家は、秋葉原からちょっと離れたところにあって、秋葉原へは電車に乗る必要がある。初めて電車に乗った時、あの時ほどの興奮は今後の人生で味わうことはないだろうな。




