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信長さん  作者: はいむまいむ
第二章 信長、人の下で働く
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特別篇 ドキッ!?  美希のバレンタイン大作戦 後編

・・・決戦のバレンタインデー・・・


「えっ・・・チョコってこんなに高かったっけ?」

美希はスーパーに行き、ジョンと信長用のチョコレートを買いに来た。しかし、日本のチョコ会社の陰謀によりチョコレートの値段は通常時の値段よりも倍の値段に釣り上げられていたのだ。そのことを知らずに、彼女はスーパーに来てしまい、驚愕しているのだ。

とりあえず、値段の安いチョコレートを探そうとするも、値段の安いチョコレートは手作り用としてすでに完売していたのだった。

ここで、「安いチョコレート売ってなかったから、買わなかったよ」と言ってしまえば、相手にちょっとした失望感を与えることになるが、それで終了、終結ができる。

だけれども彼女は、“約束”というものに強い使命感があり、これを破ることを決して許さなかったのだ。


「はぁ・・・仕方がないけれども、この高いチョコでも二つ買っていくか」

美希は妥協して、あるチョコレートを買ってしまったのだ。


高級チョコレートを・・・・・・。


※※※※


「よし。チャイムを鳴らすか!」

ジョンたちの家の扉の前に立ち、チョコレートをもって彼女はチャイムを鳴らすことを決意した。

そして、勢いよくチャイムを押した!


ピンポーン


「・・・!」

ドタドタドタッ、と部屋の中から音が聞こえる。そして、奴が扉を開いた。


「チョコレート配達ご苦労様です」

玄関を勢いよく開けて、ジョンはそんなことを口走る。


「配達しに来たわけじゃないわよ! いいから早く部屋に入れなさいよ!」

典型的なツンデレのような対応を美希は取った。その対応をにやにやと見つめ、ジョンは美希を部屋へと招き入れた。


部屋の中に入ると、美希はあることに気づいた。


「あれ? 信長様はどうしたの? 今日はアルバイトのシフトじゃないのに」


部屋の中には、いつものほほ~んとしている信長が居なかったのだ。


「あぁ、ノブなら今ゲームセンターに行ってますよ」

美希に出すお茶を作りながら、ジョンは答える。

「なぜにしてゲームセンター?」

「自分がモデルになってる新しいゲームが出たから、それをやりに行ってるんですよ」

信長はいつも、自分がモデルになっているものが発売、展示されるとバイトで稼いだお金をそれにつぎ込んでいるのだ。

「へ~、どうせ私が悪者になってるシミュレーションゲームでしょ? よく信長様も飽きないわね」

どうやら美希も、よく理解しているらしい。

「いえ、それがですね。新しいゲームはパズルゲームらしいんですよ」

「信長とパズルゲーム・・・開発者、頭おかしいわね」

「同意見です」

奇跡的にも、この二人の意見が合致したのだ。


――――


「どうぞ、お茶です」

「こりゃどうも」


ジョンは美希にお茶を出した。いつものお茶だ。

そのお茶を美希はいつもと同じように、机の上に置いてあるせんべいをポリポリと食べながら飲んでいる。


「あの~・・・」

「んっ?」

ジョンが申し訳なさそうな顔をして、美希に尋ねる・


「チョコレートを下さい」

にっこりと、欲しいということを明らかにさせる。

それを聞いた美希は、「あぁ・・・そういえば今日はそれを渡すために来たんだっけ」と言った。


「そうですよ! さぁ、早く私のチョコレートと、ついでにノブのチョコレートを渡すのです!!!!」

ジョンは、美希が言った後一転して強気になった。


ぺチン!


「イタっ・・・ちょっと強気になりすぎました。ごめんなさい」

「分かればよろしい」

美希はジョンの頭を軽くたたいて、どちらのほうが立場が上か明らかにさせた。


「じゃあ、チョコレートを贈呈してやろう」

フフフッ、と笑いながら美希はジョンにあの、高級チョコレートを手渡したのだ。


「まぁ、安くても全然いいですか・・・あっ?」

「あん?」


手渡されているチョコレートを見て、ジョンは目が点になってしまった。


「ヘイへ・・・イ・・・これはどういうことですか」

ジョンはかなり困惑しながら、美希に尋ねた。困惑するの仕方がないだろう、だって高級チョコレートを素面に渡してきたのだから、どういう反応をしたらいいのか分からなくなってしまったのだ。


「いや、別にそのままの意味だけれども・・・」

美希も、別に意味など無いから「そのままの意味だけれども」と言ったが、この台詞は高級チョコレートの受け取り手にとっては、ものすごく大事なセリフになってしまうのだ。


「そのままの意味ですか・・・」

ジョンは悩んだ。もしかしたら美希は自分に好意があるのかもしれないと。ここで、本当に好意があるのか心をのぞいて確認したほうがいいのか。いや、確認してはいけない。こういったことを確認するのは、男として最低なことだ。・・・とまぁ、馬鹿みたいに色々なこと詮索をした。

そして、ジョンはこういったのだ。


「ミス美希。あなたの気持ちは分かりました」

「お、おう」

ジョンがあまりにも、いい顔をしていうものだから美希はすこし引き気味で答えた。


「あなたの気持ちを善処したいと思うので、今日は帰ってください。ノブのチョコレートはしっかりと本人に渡しておきますから」

「えっ・・・ちょっと・・・」

「いいんです! もう、今日は分かりましたから、今日は帰ってください」


ニコニコしながら、だけれどもそのニコニコを頑張って隠そうとしている表情でジョンはそういってくるものだから、美希は何も言えずに帰ることにした。



「全く、何なのよ」

美希は家に帰った後、ジョンがなぜあんな表情になったのかを考えたが、結局結論は出なかった。


しかしその後ジョンから花束を渡されて、謎のメッセージを言われて初めて、「あぁ、高級チョコレートを渡したからこんな態度を取っているのか」と気づき、その後ジョンをボッコボッコにしたという。


ついでにだが、ノブは高級チョコレートを食べた後、そのチョコレートのとりこになってしまったようだ。


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