表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
信長さん  作者: はいむまいむ
第二章 信長、人の下で働く
49/358

四十五巻目 ――馬鹿な人ですね

――――― 


「とりあえず、連絡をしておきますね」

腹立たしくなってからしばらく立った後、ジョンは彼女に連絡を取ってくれると言った。腹立たしいのはまだ解決されていないが、ここまでしてくれるとは、本当にありがたい。


「でも、制限がかかっているのに電話ができるのか?」

「安心してください。電話はできますから」


ジョンはにやりと笑った。それは、安心感のある笑いだった。


※※※※


上には青い空と白い雲が浮かんでいる。そんな美しい景色は、どこまでもどこまでも広がっていて、ここからではすべてを見渡すことはできない。

上以外には、白い塔が何本もたっていてとても不思議な感じだ。


「・・・一体、ここはどこなのだ」

この時代には、全く似合わない男がつぶやいた。髭をぼうぼうとはやし、ものすごく汚れた着物を着ていてすごく臭っている。そして、髪の毛をしっかりと結っておりいわゆる武士のようないでたちだった。

彼がこの言葉を呟くまでに、大体十分ぐらい時間がたっていた。最初は地面に寝転がっていたが、今は胡坐をかいて座っている。人通りの多い道なので、彼のことを道行く人はまじまじとみて、「ヤバイ」とか「おかしい人」と何度も口にしていた。しかし、彼はそんな言葉を気にすることなく、ただ「ここ、どこなんだろうな」と何度も口にしていた。


――――


どれくらい時間がたっただろうか。

彼は、まだ一歩も動くことなく同じ場所に胡坐をし続けていたのだ。ただ、じっとここがどこなのかを考えていたのだ。


―――― 


何十回も、何十回も、何十回も考えても答えは出なかった。

答えが出なかったことに彼は落胆し、絶望した。

そして、彼は寝転がってしまった。目を閉じ、眠りの体制に入ってしまったのだ。

しかし、眠ることはできなかった。不安感が心を完全に掌握しており、安心感が入り込む隙を与えないのだ。ここはどこなのだ、いったい俺はどんなところに来てしまったのだろうか・・・。何度も問いかけるが、答えは出てこない。それでも彼は、問いかける。自分自身に問いかける。自分自身に問いかけても意味がないことは彼が一番分かっている。しかし、彼は不器用な人間なのだ。己に問いかけることしか、方法を知らないのだ。


「――馬鹿な人ですね」


※※※※

「・・・・・・連絡、終わりました。明日の三時頃にここまで、彼女が来てくれるらしいですから、楽しみに待っていてくださいね」

「楽しみに待っていろって言われてもな・・・」


・・・全く、楽しみすぐるな! 明日の三時?まで待てるかどうか分からないけれども、しっかりとじっとしながら待っていることにするよ。

えへへへっ。またまた、笑いが止まらないよ・・・えへへへへっ・・・・・・。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ