特別篇 ドキッ!? 美希のバレンタイン大作戦 中編
「嫌、と言われましてもこればっかりは日本にいる女子は避けられない運命なのですよ」
美希はジョンの台詞を聞いて一つだけわかったことがある。こいつ、ただ単に私からチョコが欲しいだけなんだ、ということだ。
「またそんなことを言って、どうせ避けられない運命っていうのも嘘なんでしょ?」
美希は冷静にジョンの言葉を返す。
するとジョンは、「ふふふっ」と笑い、「そんなに疑うのならば、あなたの持っているスマートフォンで調べてみてはいかがですかぬぁ?」と言ったのだった。
最後の“な”の部分をわざと“ぬぁ”と言ったところは誰であってもイラッと来るところだが、美希は冷静さを失わないために、イラつかないでおいた。
「全く・・・分かったわよ」
とりあえず美希は、スマートフォンでジョンの言っていたことが本当かどうかを調べることにした。
――――
「・・・」
美希はジョンの言っていたことが本当かどうかを調べた。そして、調べ終わった後美希は無言になってしまった。
「どうですか? 私が言っていたことが本当だったんで、何も言えないでしょうに」
にやにやと、ジョンは美希に対して笑っている。
「・・・そうよ」
本当に、ジョンが言っていたことが情報として、インターネット上に書かれていたのだ。美希は、ジョンの冗談だと思っていたことが実際に書いてあったという驚きで、びっくりしてしまい、何も言えなくなってしまったのだ。
だけれども、これでジョンの言っていたことが正当化された。
「ということで、あなたはチョコレートを私に、ついでにノブにも渡すという義務が発生したのですよ!」
正当化された瞬間に、ジョンは自信をつけてこういった。そして小さく「あぁ、昨日のうちにいろいろとこの時代の情報を書き替えておいて良かった」と、つぶやいたのでした。
美希は、ため息をした後「分かったわよ」と小さくつぶやいた。
「チョコレートを渡せばいいんでしょ、2月14日に」
「理解が早くて、助かりますよ」
ジョンはほっとした顔つきになった。
美希は、一度コーヒーを飲み「ふぅ・・・」と息をもらした。
「じゃあ、2月14日。チョコレート楽しみにしてますからね!」
ジョンはにこやかに言う。
「まぁ、既製品のチョコレートなんだからあんまり期待しないで待っててよね」
美希もニコッと笑った。
「既製品でも、好きなアイドルから貰えるということが一番大事なんですよ」
「そういうものなのか?」
「そういうものです」
いつも以上に、この二人の会話は平和的だった。
――――しかし、バレンタインデー当日に事件は起こってしまったのだった。




