四十一巻目 通信制限
「これじゃあもう・・・動画や、アイドルのこれからの出演予定、SNS、報告通信も、Wi-fi環境じゃないともう、何もできないじゃないですか・・・・・・」
どうしよう。ジョンがものすごく落ち込んでる。なんでなんだろう。
俺、なんかやっちゃったのかな?なぜそんなに落ち込んでいるのか、分からないぜ。
「ノブ」
「んっ?」
ジョンが突然俺の名前を口にした。
そして、深刻な顔をして俺に言った。
「現代には、通信制限というものがあるんです。この通信制限というものは、スマートフォンを使う者にとっては避けられない宿命なのです。だからこそ、スマートフォンを使う者は通信制限にならないように、いろいろと考えて使っているというのに・・・」
声を震わせながら、迫力のない声で俺に言ってくるもんだから俺は何も言えずに、ジョンが話してくることを聞いていしまった。
聞いたことから察するに、どうやら俺はジョンのスマートフォンを使いすぎてしまって、通信制限というものに引っかかってしまったらしい。しかし残念なことに俺は、通信制限というものが何なのかを知ってはいない。制限というからには、その通信というものが制限されるのだろう。その制限のせいでジョンがこんなにも落ち込んでいるんだ。かわいそうに。
「あなたが『かわいそうに』と思っても仕方がないんですよ!」
泣き叫ぶ声でジョンは言った。
「わりぃ」
とりあえず、小さく謝っておいた。
――――
ジョンはまだ落ち込んでいるようだが、俺はとりあえずの目標が達成できて安堵していた。
みきに贈る贈り物も決まったし、これで大丈夫・・・あれ?
「・・・どうしたんですか、ノブ」
どうやらジョンは俺の心をのぞいていたらしく、俺が『あれ?』と考えた瞬間に聞いてきた。
「俺の心をのぞくなと言ってるだろ!」
「それは無理なお話ですが、ノブは何を疑問に思ったんですか? それとも、何かを思い出したんですか?」
あっさりと無理と言われてしまったが、確かに今俺はものすごいことを思い出してしまったんだ。
「いや、贈り物をするとなると金が必要だよな」
「そうですね」
ジョンは俺の言葉に、いつも通りの感じで返してくる。どうやら泣き止んだようだ。良かった。
だけれども、俺の心はちょっと焦っていて震えた声でジョンに問いかけた。
「贈り物をする金ってどうすればいいのかな・・・?」
「あぁ・・・」
ジョンも、それに気づき口を開けていた。
どうすればいいんだろう?
※※※※
「そうだ、未来人だ」
ジェルマンはとても冷静な声で藤吉郎に答えを返す。
「そんなん信じられるわけねぇえだろ!」
藤吉郎はジェルマンに対して声を荒げて言い返す。
「残念ながら、信じる信じない以前に、俺は今、現に時を越えこの時代に存在しているんだ。むしろ信じるとかそういうことを考えるほうが、俺的には信じられない行為だな」
ジェルマンはそれを言った後に「決まったな」とつぶやいた。
ジェルマンの人としての小ささを表現している重要な部分と言えよう。




