三巻目 ドーナツの喰いすぎにはご注意を
明日は水曜日なので、投稿を休みます。
毎週水曜日は、投稿を休みます。
ちょっとだけ混乱したけれども、俺はとりあえず現状を把握することができた。現実味を帯びてはいないが、ジョンが嘘をついているとは思えなかった。もし嘘をついていたとしても、俺はそれを否定する事実や確証も無いしね。
「つまり今は、未来の日本なのか」
「その通りです」
初めて俺は、かふぇという場所に入りコーヒーを飲んだ。
「これがコーヒーか」
「ノブは初めてですか?」
「聞いたことはあったが、しっかりと味わったことはなかったからな・・・」
意外とコーヒーっていうものは苦いもので、いつも飲んでいる茶の方がうまいな。
ジョンはコーヒーを飲みながら、どーなつっていうものを食べている。
「・・・ノブ。そんなに僕のことを見つめてどうしたんですか?」
「いや・・・」
「残念ながら僕には、男色の気はありませんよ」
「ちげぇよ!」
全く、ジョンは何を考えているんだ。
そのあとジョンは、「あぁ、ノブもドーナツ食べたいですか?」と聞いてきてくれた。欲しいと言えば良かった。なんか相手にしてもらうのは俺の道理に反している気がする。
「・・・意外とうまいな。ビスコートのようだが、甘くて柔らかい。不思議な感じだ」
「ビスコート・・・ビスケットのことですか?」
「分からないが、この時代ではそう呼ぶのかもしれないな」
室内は外よりも温かくて、すごく心地よかったよ。
だけれども、俺はさっさと帰らないといけないんだ。早くあの時代に戻って、天下統一をしないといけないんだ! みっつーに殺されたなんて恥ずかしすぎるよ。
「ジョン。お前の正体は良く分からんが、お前を信用して頼みがある」
「いきなりそんなことを言うなんて、さすがノブ。・・・まぁ、私の正体に関しては、先ほど説明しましたけれどもね」
「そうだったか?」
「いいですよ。もう、気にしないでください。で、頼みとは何ですか?」
「俺を、元の世界に戻してくれよ。やりたいことがあの時代にたくさんあるんだよ」
切実な願いさ。俺はジョンに懇願した。
「うん・・・。それは、無理な話ですね」
「はっ? どうして・・・?」
おいおいおいおいおいおいおい・・・。なんでだよ。なんで無理なんだよ。
もしかして、俺帰られないの? あの時代に戻れないの? どうして?
「なぜ戻れないかというですね」
「言うと?」
ジョンがちょっと気まずそうな表情でムムム顔をしている。
「実を言いますと・・・これを読んでください」 そういうとジョンは俺に本を手渡した。
「れ・・・きし・・・・・・日本の歴史?」
「はい。その本の中の“本能寺の変”という場所のところを読んでみてください」
「・・・?」
本能寺の変・・・。本能寺が変なのか? どうゆうことなのか?
「とりあえずノブ。いいから、読んでください」
「分かったよ・・・」
ジョンに言われるがまま、俺は本能寺の変のところを読んでみることにした。この本は現代の歴史の教科書とゆうもので、この日本の歴史について書かれている書物らしい。この時代の奴らは大したもんだ。
なになに、本能寺の変は、天正10年6月2日にみっつーが謀反を起こして京都の本能寺に宿泊していた俺を襲撃した事件である。なるほど、その通りだ。
俺は寝込みを襲われ包囲されたのを悟ると、寺に火を放ち自害した。悟ったっていうか、派手に散ろうと思ったんだけどね・・・。俺の息子の信忠は、宿泊していた妙覚寺から二条御新造に退いて戦ったが、自害した。
・・・まじかよ。信忠、自害しちゃうのかよ。
そして、2人の死によって織田政権は崩壊した。
なんてことだよ。なんで、なんでだよ・・・織田政権崩壊しちゃったら、俺の家臣たちどうなっちゃうんだよ。どうすりゃいいんだよ!
いろいろなことを知り、知りたくないことも知り、もう頭がめちゃくちゃになっているのに、ジョンはドーナツを食べながら「まっ、落ち着くことが大事ですよノブ」と口をもごもごさせながら言ってくるもんだから、俺は机をバン!と叩いてしまったよ。
「冗談じゃねーよ。こっちは家臣たちの生活が懸かってんだよ。何か帰れる手段があるなら、教えろよ!」 意外とその時の俺はいいことを言ったもんだ。今でも覚えているぐらいなんだから、俺なりにしっかりと考えたんだろうな・・・。
「落ち着いてください。人間はいずれみんな死ぬのです。まずは現状を詳しく理解して、どうやってこの現状を生き延びていくかを、考えるべき時なのです! ・・・げふっ」
ジョンや、ドーナツ喰いすぎてげっぷをしてるんじゃないよ。