三十五巻目 意味不明ですよ
ただ、怒っているとなるとやっぱり原因を知りたくはなるよな・・・。
もしかしたら俺のせいで怒っているのかもしれないし、ジョンのせいで怒っているのかもしれない。これはないと思うが、自分自身に腹を立てている可能性だってある。
こんな時ばかり、俺はジョンと彼女だけがが使える、心を読む力を欲しくなってしまう。いつもならばいらないんだけどもね
さて、どうしようかな・・・。
「ノブ、何かお悩み事ですか?」
どうやら、プラモデルの整形が終わったようだ。ジョンはちょっと間が抜けたこえで俺に話しかけてきた。それも、俺の心をのぞいたうえで聞いてくるもんだからねぇ、うざいわなぁ。
「まぁ、悩みごとっていうかさ・・・ねぇ」
悩みごとといったら悩みごとだけれども、ちょっとよくわからないや。
「もし、彼女のことで悩んでいるのであれば気にする必要はないと思いますよ?」
「えっ?」
たしかに彼女に関して考えていたけれども、そのことをジョンに指摘されるとちょっとだけびっくりしてしまう。
「悩むだけ無駄ですよ」
ジョンはいつになく冷静な口調で僕に指摘する。その口調はいつものようにうざくなく、どちらかというと温かみのある、人のことを心配する口調だった。
「なんで、無駄だっていうんだよ」
べつに、ジョンのことがうざいからこんなことを聞くんではない。本当に疑問に思ったからだ。
「彼女はちょっと変わった性格の持ち主ですから、気にしたほうが負けですよ」
「負けか・・・・・・」
気にしたほうが、負けなのか・・・。
――――
ジョンの言った通り、俺は彼女がなぜ怒ってしまったのかを考えることをやめた。
確かに考えるのをやめたら、ちょっとだけ気が楽になった。だけれども、俺本来の性格である、何か問題が発生したら追求したい、答えを出したいという性格が心残りを生んでいる。
はぁ・・・。俺はどうすればいいのだろうか・・・・・・。
「ノブ。意味不明ですよ、その考え」
「お前に、意味不明とか言われたくないわ」
さっきの言葉とは違い、いつもと同じうざい感じの声質だ。だけれども、こっちのほうが俺としては安心するな。
ジョンは、俺が言った後「ふむ・・・」と声をもらし数十秒間沈黙をした。そして、手を叩きジョンは俺にこう提案をしてきたのだ。
「なら、何かプレゼント・・・贈り物をしたらどうですか?」
「贈り物?」
「そうです」
ジョンの口調には非常に苛立つ部分が多いが、その提案は非常にいいものだった。さすが、ジョン言ったところだろう。




