第二百五十七巻目B 話がまとまらない、どうしよう
「まぁ、そのミスに関しては今は語るべき状況ではありません。秋葉原がなぜ今このような状況に陥っているのかを説明しなければなりませんね」
そういって家入はコーヒーを最後に飲む。そして、「さて、場所を移動しましょう。車がこの喫茶店の前に停まっています。それに乗って理由を説明できる場所に行きましょう」といって立ち上がった。
私はそれを追うように家入についていく。
喫茶店の前には黒色の車に乗りこんだ。運転は家入でどこに向かうか分からぬまま、私はゆったりと座りながら外の景色を眺めていた。
不思議なことに、車は走りだすと止まることはなかった。それに家入が「さて、もう少し速度を出しますか」と言って速度を出しても、事故を起こすこともなかった。全く持って不思議だ。
「さて、リーダー。一つだけ教えてほしいことがあるのですが……」
「?」
家入は車を運転しながら私に尋ねてくる。
「今日あなたの家には信長、もしくはジョンタイターのどちらか居ましたか?」
「いや、二人ともいなかったが……なぜお前がそれを知っているのだ?」
「人の情報源を聞くほど無粋なことはないですよ?」
「……ちっ」
小さく舌打ちをする。本当にこいつはあの南蛮人と似ているな。全く持って嫌味な奴だ。
車で運ばれること三十分近くになる。高速道路と呼ばれる道も混むことを知らず、快適な乗り心地だった。そして、ついに車が減速をし始めて家入が口を開いた。
「さっ着きましたよ、有明アリーナに」
外にうつるのは広い更地で、着いたといわれるところにはおよそ建物と呼ばれるものは存在していなかった。




