第二百四十七巻目A みきぃー
再来週より、毎日の投稿に戻ります。
よろしくお願いします
「あの……りんりん、少しいいですか?」
数十秒間、私と監督の謎のいちゃつき合いをニヤつき顔で放置していたジョンは、ようやく監督に声を掛けて事態の収拾を図ることにした。言っておくけれどもここは秋葉原の裏通りだとしても、人通りは少なからずあるところだ。ほら、そこにも私が抱きしめられているのを見ながら顔を赤らめている輩いる。もちろんその反応は正しいが、もし善人の心があるんだとしたら、「大丈夫ですか?」と声をかけてほしいものだ。
とりあえずジョンが声を掛けてくれたおかげで、監督は理性を取り戻しついに私を抱きしめるのをやめて、立ち上がった。私もすぐに立ち上がろうとしたが、悲しいことに力が出ずこの二人が話が終わるまでだらしなく道に横になっていた。道が汚いと思うかもしれないが、私はそれ以上に道のアスファルトの痛さに絶句していた。あれは、少しの間だけであれば何も感じないが長時間だとかなりの痛みになる。皆さんも道に直接横になる際はぜひ気をつけてほしい。
「なに? じょんじょん?」
「いや、美希はですね私がお願いして少し遠くに出かけてもらっていたんですよ」
「?」
「それなのに美希が休むことを伝えるのを忘たのもそうなんですが、それ以上に美希の居場所を聞かれた際に知らないと言ってしまって、余計に混乱を生ませてしまい本当に申し訳ありませんでした」
横になっている私でも聞こえる声でジョンは監督に私が居なかった理由を嘘を交えながら謝罪をしていた。それを監督もうなずきながら真剣な顔で聞いている。
「じょんじょん、なんで私が美希の居場所を聞いたときに嘘をついたりしたの?」
「実は、美希にお願いしていた事と言うのは関係者以外に伝えてはいけないものでして……なので、嘘をつくしかほかなかったのですよ」
それこそ嘘だ! と、私は叫びたかったがこれ以上の痛さ(主に視線的な意味で)を味わいたくなかったので、唇を噛みしめて黙ることにした。
「なるほどね……分かった。まぁ、今後は私にもしっかり伝えるようにしてね。私、じょんじょんの事信用しているから!」
「分かりました」
どうやら両者とも分かり合えたようで、両者とも同じような笑みを浮かべて問題は解決したようだ。そして、私もようやく体に力が入るようになり立ち上がることが出来た。
そして立ち上がった直後に監督に目をつけられ「みきぃー!」と叫ばれながらまた押し倒されたのは言うまでもないだろう。
「とりあえず、今日はライブでなくていいけれども明日からの予定を決めるから劇場に行こう。じょんじょんも、詳しい事情をみんなに説明してほしいからついてきてね」
「分かりました、りんりん」
いつも思うんだけれども、じょんじょんとかりんりんとかなんでそんな呼び名で呼び合うような仲になったんだろ。言っちゃなんだけれども、ジョンだってこんな性格だけれども基本的には排外的だし、監督は監督で厳しく言う事が多い人だ。それが何でここまでの仲になれたのかは、ものすごい疑問かもしれない。
かくさんを
かくさんしてよ
かくさんを




