第二百四十四巻目A 壊しつくせ
金曜日に投稿した気になってました
「ついてきてください。とりあえず言っておきますが、ここは正式には体育館では無くアリーナという場所です。あなたが飛ばされる前にいた時代にはもう話題になっていたはずですよ?」
「そんなことはどうでもいいでしょ?」
「世の中にどうでもいいことなんて何もありませんよ」
ジョンはなぜか分からないけれども、いつもこうやって人の上げ足を取ってくる。上げ足というほどではないかもしれないが、それにしたってうるさすぎる。
ジョンは駐車場からほど近い体育館もといアリーナの裏の扉に私を案内して、施錠されている物を解こうとしていた。
「たしか暗証番号は・・・…これだったはずですけど、どうですかねぇ?」
ダイヤルに暗証番号を入力して、施錠を解くタイプらしい。ジョンは暗証番号を知っているようだったが、うろ覚えらしく少し不安げだった。
ピーッ!
「おっ! これで、施錠が解除されましたね!」
「よかったよかった」
とりあえず私は、施錠されたことを喜んであげることにした。ジョンは「いやー、私もまだ老けていないということですね。これも、しっかりと仕事をして……」とか云々言っていたけれども、正直自己自慢だったので聞き流すことにした。
「それでは中に入りましょう。まだ、警備は甘いはずですから核の部分に行くまでは大丈夫だと思います」
「なにが大丈夫なの?」
「武力的なことが」
「?」
体育館の下で武力的なこととは、いったいどういうことだ?
とにもかくにも、施錠された扉の向こう側は階段が下に続いていて、薄暗かった。ただ、ロリポップの劇場もこんな感じなので、なんだか懐かしい感じがした。
下まで降り着ると、そこにあったのは細長い廊下で向こうまで見える向こう側までかなりの距離があった。
「この廊下を歩き終えた先にあるのが、あなたがここに来た目的である分子縮小拡散移動中央装置が置いてある部屋です」
「そう」
私は社交的に返事を返す。
「その、一つだけ教えてほしいんですが」
「なに?」
廊下をゆっくりと歩く。すると、ジョンは私に質問をしてきた。
「その、なぜノブがあなたに分子縮小拡散移動中央装置に関しての情報を提供をしたのかを……」
「それはさっきも言っていた通り、知らないっていってるでしょ?」
「あぁ……そう言えばそうでしたね。じゃあ、あなたが分子縮小拡散移動中央装置をみつけたらどうするのかを教えてくれませんか?」
ジョンは、なぜだか静かにそれを聞いてきた。信長様からは他人に情報を提供してはいけないというお達しは来ていないわけだし、ただこいつに言うのもあれなんだが……いつもの調子のこいつだったら絶対に言わないけれども、いつもと間反対の状態のこいつだとちょっと調子狂うな。
「……まぁいいや、教えてあげる。ここまで連れて来てくれたお礼っていうことでね」
「おぉ、ありがたい!」
いきなりいつもの調子にも乗りやがった。教えてあげるなんて言わなきゃよかった。
「ただ、私だって一度言ったことを曲げるつもりはないわ」
「どうかしましたか?」
「いや、ただの独り言だから気にしないで……」
たまに私は独り言を言ってしまう癖がある。これは直さなければいけないな。
「信長様曰く、その名前が長ったらしいものを見つけたら……」
「見つけたら?」
私が信長様に言われたのは、これだ。
「ねじ一本残さぬよう、壊しつくせ」
「……ホントですか?」
「ホントも何も、手紙にはそう書かれていたわ」
ジョンはまた黙りこけてしまった。全く持って今日のジョンはテンションが低い。もう少し、テンションの上げ下げを平坦にしてもらいたいものだ。
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