第二百二十五巻目 結果オーライ
百年前の日本でも、ハワイは天国だといっていたから一度は俺も行ってみたいものだ。
とりあえず、俺はサングラスをかけてみたけれども当たり前だけれども視界はかけた途端暗くなったので、がっかりして外してみる。気になったので渡部さんの方を見てみると、渡部さんは「いやー、やっぱりサングラスをかけると気持ちがいいですねぇ」と言ってサングラスをかけていた。ちょっと、変わっているな。
廊下は百メートルぐらいあって、結構長い。それでも歩くたびに着実にまぶしい光が近づいてくる。光のまぶしさが限界まで来たところでさっきもらったサングラスをかけると、さっきとは違ってちょうどいい。
「あれ? なんでこんなに明るくなったんだろ?」 渡部さんは独り言をつぶやく。
そりゃあ、あれだけまぶしいところに近づいたんだからサングラスをかけっぱなしでも明るくなるだろ。あんまりにも不思議そうな顔をしているから、本当に科学者なのか疑問に思ってしまう。
サングラスをかけているからまぶしい中でもしっかりとモノの位置を把握することが出来、ようやく超光速研究室の前へとやってきた。渡部さんが「それでは、中へご案内します」と言って、部屋の扉を開いた。
開くとそこからは、本当に南国のような香りとあたたかな風がこっち側に流れ込んできた。
「私、この会社の中で一番好きな部屋はこの超光速研究室だったりします!」
渡部さんがすごく楽しそうな声で、そう言ってくる。確かに、渡部さんが好きな部屋ということは分かる。
中に入ると、流れ込んできた空気よりもあったかい空気が充満していて、正直空気の質は汚く少し気持ち悪くなってきた。渡部さんの好きな南国というよりかは、熱帯雨林のようだった。そうは言うものの、熱帯雨林なんて言ったことがないから適当に言ってみただけなんだけれどもな。
「おっ! 客人かね?」
「はい、藤巻さんのお客様をご案内しています」
「ほぉう、藤巻さんのかぁ……」
中には一人、パソコンの画面を見つめていた男の人がいて渡部さんが「お邪魔しまーす」との声を聞いて、こちらを向いてきた。ただ、部屋の中はまぶしいのではっきりとその顔を確認することは出来なかった。
「客人、お名前を何というのかね?」 声はかなり渋く、何だか聞き覚えがあった。
「名前は、織田と言います」
「織田……か。苗字かね?」
「そうですね」
「まぁ、苗字も名前の一部か……気に入った」
ハハハッ!と高笑いをして、男の人はパソコンの方に体を向けた。そして、気ボードを叩きながら、俺にこんなことを聞いてきた。
「織田さん……いや、織田君と言った方がいいか」
「お好きな方でどうぞ」
「フッ……それじゃあ織田君、君は時間というものを信じているかね?」
「まぁ、信じているかといえば信じていますよ」
「それじゃあ、時間というのは不変的なものだと思うかい?」
なんか、さっき彼女に言われたことと同じだなぁ……。
「確かに普遍的なものだと思いますよ。よくは分かりませんけども」
「うむ、その適当に返すところがいいねぇ」
適当に返したわけじゃないけれども、どうやら認められたようだ。結果オーライと言った感じだ。……昔だったらこんな言葉絶対に使わなかったな。




