二十三巻目 ・・・!?
「いいかげんにしろ」
冷たい口調が、この激しい言い争いに響く。そして俺たちは気が付いたんだ。というか、ジョンは知っていたのかもしれないけれども、俺は気づいていなかった。
『・・・!?』
「はっ・・・!」 彼女は、驚いている。
しかし俺は、彼女以上に驚きを隠せずにいる。
「ジョン、どういうことだ?」
「はい?」
「ジョン、こいつ・・・」
「えっ・・・まさか、あなた気付いてしまったんですか?」
ジョンがいつにないほど、怯えている。さっきまで俺に対してあんなに攻撃的だったのに、なぜだろうか?
「それにしても、君は・・・」
と言い、俺は彼女の方に目線を向けた。すると突然、彼女は
「ひぃ、ごめんなさい! ごめんなさい信長様!」と、泣きだしてしまったのだ。
「えっ?」 あまりにも突然の出来事だったから、驚いてしまった。
彼女は、急に泣きだして、急に謝りだしてしまった。
「なんで急に謝るのさ!」
「えっ・・・・・・? だって、私の正体に気づいたみたいだったから・・・」
「正体? 何の話?」
「へっ?」
「ノブ、どういうことですか?」
彼女は驚きが驚きが驚き顔だし、ジョンは何だ「えっ?」という表情で俺に質問をしてくる。
「いや、別に俺は正体とかそんなのは分かってないよ」
うん、だって正体を見破るなんていう能力は持ち合わせてないからな。
「じゃあ、なんで私のほうを見て『それにしても、君は・・・』っていったんですか?」
彼女は泣きながら、喰い気味に聞いてきた。
「いや、君が怒ると怖い人なんだなぁ、って思ってそれを言うために言っただけだよ」
そういうと、彼女ら二人は「ほぉ・・・」とため息をだして、なんだか顔がゆるみだしてしまった。
「信長さんって、騙されやすそうですね」
「えっ?」
「ノブ、あなたはとてつもない鈍感なんですね」
「おい!」
なぜ、二人とも突然こんなことを言ってくるんだろう。ひどいよ、もう。




