特別編 東京スーパーカーショウの事件簿 第三話
来週また続きを書きます
通常編は明日投稿します。
もしかしたら今日投稿します
「えーと……お客様」
中に入ると、係員らしき人から呼び止められた。
「何ですか?」 俺は普通に返す。
「こちらからの入場は関係者専用となっておりますので、お客様にはお手数ですが一般入場口からの入場をお願いします」
あぁ……まぁ、普通に考えたらそうだよな。普通の格好して、遊び気分で着ている奴らがまさか関係者用のチケットを持っているとは思わない。むしろ、この人がしていることは正しい行為で職務を全うしているだけだ。だから彼女を攻めることは出来ない。ただ、彼女には正しいことをしてもらわないといけない。今回に関しての正しいこというのは、俺と偽美希が関係者であるということだ。
「いや~一般の人に見られるかもしれないんですが……これを」
俺はかなり下手に出ながら係員の人にそう伝えながら、ミスター安藤からもらったチケットを見せた。
「……安藤様からのご紹介ですね? 少々お待ちください」
そう言うと係員の人は、俺たちを置いて奥の部屋へと行ってしまった。
「信長様」 偽美希が俺の名前を呼ぶ。
「何だ?」
「本当にあのチケットは本物なんですよね?」
「たとえあの人が嘘をついたとしても、こんな変な嘘はつかないだろ」
「そうです……よね」
今にでも偽美希は泣きそうになっていた。あれほど楽しみにしていたものを、入場の時に止められてここでお待ちくださいと言われている。そりゃあ泣きそうにもなるだろ。
そこから俺たちは十分間静かに待たされた。何をされるわけでもなく、何を言われるわけでもなくただ立ち尽くしていた。偽美希は時間が立つごとに体の震えが大きくなっていき、ちらちらと俺を見るようになってきた。まるで、子犬のようだった。
そして、偽美希も限界にきて俺の腕をぎゅっとしていなければ立っていられなくなってきたころ、待つように言ってきた係員の人が三人ぐらいの男を連れてやってきた。
この状況で、そんなことをされると何かをされると考えてしまうのが人間の本能だ。
俺は少し身構える姿勢を取り、偽美希は俺の腕から離れて何やら不思議な格好をしている。
「アニメで学びました。これは鶴の構えです」
アニメを見ていたことに驚いたが、今は目の前が怖い。
係員の人達が俺たちに近づき最初したことは、攻撃では無く
「大変失礼いたしました!!!!」 と大きな声で言われ、土下座をしながら謝罪されるということだった。
「え……?」
思わず動揺していしまう。しかし、彼らの謝罪は止まらなかった。
「安藤さまよりご紹介のお客様とは知らず、係員のものが無礼を働いてしまいまして誠に申し訳ございません」
「え……ぇ?」
「申し訳ありません、申し訳ありません…………」
今俺が驚いているのは謝罪に対するものでは無く、俺の前で人がひれ伏している(土下座)状況だった。久しぶりに、こんな風にされたけれどもすごい光景だな。普通だと思っていた時には思わなかったけれども、結構異常なんだな、これって。




