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二百八巻目 前編 時空局
支配という言葉の響きと強さは、支配するものにとっても支配されるものにとっても大きなものだ。だけれども、その言葉の受け止め方はそれぞれ異なる。支配する者にとっての支配という言葉は、権威の象徴である。しかし、支配されるものにとっての支配という言葉は、恐怖の象徴だ。
「我々は、今こそ素晴らしい支配によって統治され、国境、民族、人種を超えて調和されなければならないのだ」
今、話をしている政治家というのは最近勢いを増してきた日本中央党という政党の党首である、大平真という人の話だ。民衆は、今では政治にくぎ付けになっていて、テレビで政治の番組を放送をすれば視聴率が七割が固いというほどだった。
そんな中で、秘密裏に動いている組織があった。それは、現政権主導でもなく、政治家主導でもない、研究者のみで構成されている組織だ。
優秀な人材はそこへ集められ、研究を行う。そして、その研究の成果というのはブラックノートという特別な報告書にまとめられてある場所へと報告される。
そして、その組織で行われている研究というのが時間についての研究だった。
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