第二百七巻目 時間という力
特別編は、延期します。
明日からは普通に書きます
風呂に入った時間は覚えていない。計測しているわけでもないから正確な時間が分かるわけでもないけれども、それにしてもこんなにも一瞬に感じた風呂はなかった。風呂に入った瞬間意識が消えて、気が付いた時には顔全体が熱くなっていた。これ以上入っていたら死ぬかもしれないと思った訳で、俺はとりあえず風呂から出ることにした。
だけれども、さっきも言っていた通り風呂に入った瞬間に意識が消えてしまったから、事実出るときにはまだそんなに時間が経っていないように思えたんだ。
タオルでしっかりと水を拭ききって、全裸でリビングに戻る。ジョンとかがいないからなせることで、ジョンがいるときにこんなことをしたら変人というより犯罪者として処理されてしまうだろ。ジョンも苦笑いとかウザい笑い方をすることもなく、ただ冷たい目をして悲しそうな声で「大丈夫ですか?」と言うだろうな。そんなことを言われたら、絶対に立ち直れなくなってしまうよ。
さすがにいつまでも全裸にいるわけにもいかないから着替えては見るけれども、すっきりとことはなく、まだももやもやとした気持ちは残っている。
まだジョンは帰ってはいないけれども、時計を見てみると時計の針はてっぺんを超えていて、外にも人がいなくなっていた。
ただ、もう眠くなってしまったから今日は寝ることにしようかな。眠れるかどうかは分からないけれども、布団に入って少しでも疲れを癒したいと思う。明日になればジョンとか偽美希も帰ってくるだろうし……でも何なんだろうな。こんなこと最近もあったような。
どちらにしても、明日になればミスター安藤がまた来ると思うしそれまではゆっくりとこのもやもやを味わっておこうと思う。こんな時間も生きていくには必要さ。
※※※※
「―――!」
「――――ッ! それはない」
「……」
「―――」
…‥‥‥‥…すべてを無に帰そう
「?」
「……」
「偽美希!」
「―――…………」
「……くそっ」
※※※※
―――西暦3270年
「我々は圧倒的なまでな力を手に入れた。しかし、それらの力は今までのように破壊するだけのものでは無い。我々は、今まで支配をするために破壊を行ってきた。しかしこの圧倒的なまでな力を利用すれば今までの支配方法というのは無に帰り、その力こそが絶対的なものになるだろう」
支配者の言葉というのは、いつも時代も民衆の心をつかむもので、優しく語り掛け内容はいつも攻撃的だ。民衆はたとえその言葉が偽りだとしても善だとしても、その言葉が美しければ美しいほど、信じてしまうのだ。
「力というのは何も見えないものでは無い。今まさに我々が手に入れようとしている物だ。力はすべての世界に浸透していき、社会は間もなく統一されるだろう」
そして、信じたものというのは様々な考えを生みたとえその考えが信じるべきものかどうか分からなくなったとしても、強いものがあればそれについていく。
「我々は、情報よりも素晴らしい、時間という力に支配されるのだ」




