第二百巻目 後編 勘違い
ジョンの本棚に何があるかしっかり確認してみることにする。本棚には実用書以外にも、物語小説やどっかの偉い人が書いた論文が入っていた。本棚は三段あって、それが前後にある。前のほうはさっき言ったやつがたくさん詰め込まれているけれども、後ろの方には実用書なんてものはなかった。あったのは、アニメの本アイドルの本、漫画(日本語のやつと英語に翻訳された奴)、それと良く分からない変な本で埋め尽くされていた。ただどれも表紙には二次元の女の子の絵が書かれていて、日本のオタクというものを感じることが出来た。だけれども、その本棚の右端にはそれらの本とは違う雰囲気をまとったものがあった。ただ、それは見たことがあるもので、懐かしかった。
「懐かしいな、これ」
手に取って、さらに実感する。これは、俺が初めてこの時代に来た時に見せられたもの。これを見た時に本当に驚いたし、本当に違う世界に飛ばされたんだということを実感したよ。
「歴史の教科書だ……これ」
今の俺にとってこれほど社会科の勉強に役立つものはない。
だから早速俺は、ミスター安藤に指摘された戦国時代について勉強をすることにした。
「まぁ、どうせ俺が知っていることがほとんどだろうけれどもね」
だって、戦国時代っていうのは俺が生きていた時代なんだぜ? それで、分からないことなんて、俺が生まれる前か本能寺の一件以降のことぐらいだ。
どうせ知っている内容だと思って、その時はあまり深くは考えていなかった。復習をするつもり、それが俺の考えだったから。
でも、実際教科書を見てみるとその考えは百八十度変わってしまった。
「……?」 無言になってしまうぐらい、驚くよりも混乱のほうが大きかった。
「俺が……いない」
教科書には、俺の記述が馬鹿みたいに消えていた。なぜか、わからないけれども……




