百九十七巻目 おまけの
「事の発端は、先ほども話したように今から五百年後のことです」
「ほう」 偽美希は、コーヒーを飲みながらそう答える。
どうせ疑ってくるだろうと高をくくっていたジョンは、想像もしてなかった偽美希の行動に少し動揺をした。
「あなたは、私の話を信じるんですか?」 偽美希にジョンは確認をとる。
「信じない理由がどこにあるんだ? もちろん、信じる理由もないけれども」
「……まぁ、いいです。その時代になりますと、この世界というのは新しいツールを持つようになり、そのツールを使って様々な研究が進みました」
「ほぅ」
偽美希は、素直にジョンの話を聞いている。
「……その研究の中に、ある特別な研究があったんです」
「ふむ」
「……そんなに素直に聞かれると、なんだか調子がくるってしまいますね」
「お前は、人に疑われないと生きていけないたちなのか?」
「そういうわけでは無いですけれども、いつもノブに疑われていますから……」
「お前、あの信長様に疑われるなんてよっぽどだぞ?」
「やっぱりそうなんですか?」
「あぁ、信長様は信じるか殺すかしない人だからな」
「殺されなくて、良かったですよ」
「本当にな」
何かわからないけれども、どうやら彼ら二人は何かのつながりを得たらしい。誰もが分からない、彼らにも分からない繋がりが。
「それでですね、その研究というの時間というものを使った試験的な実験でした」
「時間使った、実験?」
「そうです」
―――
実験というのは時間を無限に増やすというものでした。
そもそも、五百年後の世界ではさまざまな学問が第三次世界大戦により進み、時間というものは有限であるということがわかりました。そして、それに疑問を唱えた研究者たちが、時間を無限に増やすという研究を行い始めたのです。
その研究というのは、様々な時間の軸というものを作り、さらにその時間の軸から様々な実験を行うために試作品の世界が作られそれを時空の軸としましょう。この時代の時間の研究者は時間の軸と時空の軸を無限に作り続け、好きなように研究をしていったのです。そして、その研究は一定の研究の成果を出すことが出来ました。
そして、その成果というのがその時間の軸と時空の軸を無限に作り続けたことによって、本当の時間というものが干渉されていき、予定されていた時間の消滅よりも速い段階で時間というものが終わりと遂げてしまうということだった。さらに言ってしまうと、その干渉というのは現実の時間以外の、無限に作られた時間の軸と時空の軸もそれぞれに干渉をしあっていき、全てがつながりすべてが崩壊へと向かっていった。
それが、その特別な研究ということです。
―――
「それが、俺と信長さんにどんな関係があるのか?」
「その干渉を止めるために、信長が必要だったんです。あなたはおまけみたいなものですよ」」




