百八十巻目 恩返し
「就職塾?」
「……まぁ、これ以上の説明は本当に時間の無駄になってしまうからやめておこう」
気になるじゃないか。一体就職塾というのはどういうことなんだろうか?
「いずれ君も、普通に行けば大学に行くことになるだろう。だから、その時に分かるはずだ。二度手間になるんであれば、今ここで違うことをしていた方が効率的でいいはずだ」
「そうですか」
「そうだ」
まぁ、そう言うことであれば我慢することにしよう。確かに二度手間は、必要のない無駄なことだ。
彼は、一通りのことを言い終わると「お茶を飲ましてもらうぞ」と言って、ジョンが前に入れておいたお茶を急須からくみ取って、それを飲んだ。
そして、一息ついた後「じゃあ、まぁ、とりあえず始めることにしようか」と言って、俺の方を見てきた。
「何をですか?」 つい、言ってしまった。
「そんなの、決まっているだろう。なんで私がこの家に来たと思っているんだ」
「なんででしたっけ?」
「君……本当に大丈夫か?」
大丈夫じゃないと思う。
「私は、君に勉強を教えるためにはるばるこの家にやってきたわけだ。」
「あっ、そう言えばそうでしたね」
「理解力もなければ、記憶力もないのかぁ……本当に鈴木さんは厄介な奴を押し付けるなぁ……」
「鈴木さん?」
「あっ? 何も聞いていないのか?」
「はい……」
ジョンと彼の接点はなんとなくあることは分かったけれども、鈴木さんと彼にいったい何の接点があるというんだろう。
「……まぁ、言ってみれば鈴木さんの教授時代の教え子が私だったというわけだ。色々と鈴木さんには迷惑をかけてしまったから、時間ができた今恩返しをしているって訳さ」
「恩返しっていうのが、勉強を教えるってことですか?」
「そうなるな。まぁ、勉強を教えたところで人間が成長するとは思えないけれども、鈴木さんがやってくれって言ってくるんだったら断る理由はないさ」
「成長するとは思えない……」
「まぁ、そこまで気に止める必要はないさ。私の持論だからな」
彼の持論というのは、かなり心をえぐる感じのものだ。否定もできないし肯定もできない。だけれども、こころは傷ついていく。そういう感じのやつだ。
「まぁ、とにかく勉強を始めよう。まずは、今後のスケジュールについて説明する」
土日の間に、色々と書きます。
ゲームショウ楽しみですわぁ




