百六十六巻目 話が多い一日
とりあえず、お腹がすいている俺と鈴木さんそしてジョンは料理を取りに行くことにした。
バイキングというのは、食事に興味がなかったとしてもかなり輝いて見えるものだ。もちろん俺は、今ものすごく食事に興味があるからいつもよりも輝いて見える。
並べられているのは和食はもちろん、中華、洋食さらには焼き肉用の生肉まで様々だ。俺とジョンと鈴木さんがトレーを取り、料理を取ってみるとその料理の匂いが近くだから強く匂い、食欲を今までかつてないほどに湧きたてる。殺意が湧くぐらいにね。
「これは私のもんだ!」
「お客様……落ち着いてください」
「だまれ、こわっぱぁっ!」
中華のコーナーで、偽美希はエビチリを取ろうとしてなにやら店員ともめているようだ。どうやら、エビチリが置いてある皿ごと持って行こうとして、店員に止められているようだ。
今のところは、自分の食欲を満たすのが優先なので、偽美希を無視することにしよう。
「いや~ノブ。こんなに料理があると、どれを選んだらいいか迷ってしまいますね」
ジョンは、にこにこしながら俺に言ってくる。普段であれば一発腹にぶち込んでやりたいところだけれども、今は無視しておこう。
「生贄ボーイ。ここはすごいなぁ、たくさん料理があって。まるで、天国だよ」
「そうですねぇ」
鈴木さんの言葉は、本当に小さな声だけれども気持ちが伝わるような声だった。
俺は、とりあえず今簡単に食べれる分だけ取ってテーブルに戻ることにした。この分を食べた後は、後でまた取ってくればいいからな。
「お客様! エビチリ以外はやめてください!」
「なるほど、これはエビチリというのか! そうかそうか……」
「お客様ぁっっっ!」
偽美希は、テーブルに戻らずに中華コーナーの場所でそこに置いてある料理を食べ始めた。
なぜか店員はエビチリはここで食べてもいいが、それ以外は食べてほしくないようだ。
不思議だなぁ。
俺とジョンと鈴木さんは、テーブルに戻り席に座り、そこに置いてあった水を持ち乾杯をした。
そして、偽美希のいない安全な食卓で俺たちは食事をとることを始めた。
―――
食事を食欲を満たすほどとった後、ようやく鈴木さんが話を始めた。
その頃に、偽美希が店員に取り押さえられながら机に戻って来た。
これで、ジョンが言っていた話をする条件というのがそろった。
「さて、話を始めましょうか」
今日は話をされるのが多いな。この後にも鈴木さんが話すというしな。




