百六十三巻目 いいことなんてあるはずがない
今回の話は、展開をつけるためにかなり無理やり書きました。
そう言うことなんで、ごめんなさいと言っておきます。
「なんで犬なんですか?」
「なんとなくさ。理由なんて必要か?」
「当たり前ですよ!」
「じゃあ後で考えるとしよう」
まったく、この人は……
でも、私の知っている信長様は、徳川と知り合いになっているけれども、
※※※※
「さすがにもう歩くのは嫌だな」
店を出てから大通りに出た後、鈴木さんがそう言った。
「まぁ、確かにそうですけれども」
「よし、良く言ってくれた生贄ボーイ! 美希君はどうかね?」
「とりあえず座りたい」
「座りたい、そして歩かない。それらをかなえてくれる夢のようなものは、すでに存在しているんだ」
鈴木さん、お腹がすき過ぎて頭がおかしくなったのかな?
「ここは首都、東京。コンクリートジャングルと揶揄される代わりに利便性においては、他地域よりも優れている。だから、こうして大通りには車がわんさか通って走っている」
「はい」
「だから、タクシーでも拾おうと思ったんですけれども……」
「?」
鈴木さんは、震えた声で言う。
「なぜだか、タクシーだけは来ないんですよねぇ……」
なるほど、だから震えた声になっていたのか。
「ただ、もう歩きたくはない。少しだけここでタクシーが来るのを待つとしよう。一時間ぐらいなら少しだよな?」
ここで鈴木さんを否定してしまうと、後々面倒なことになりそうなので、とりあえず子浮いておこう。
「はい! 一時間ぐらい余裕ですよ! な、美希?」
「座れるなら、それでいい」
美希もこういっているんだ。大丈夫だろう。
――――
「……」
「―――流石に、一時間待ってタクシーが一台も通らないってあるか?」
「……ないと思います」
俺たちは本当に一時間待った。タクシーが来るのをひたすら立って(偽美希は胡坐をかいて道端に座っていた)んだ。だけれども、タクシーはそんな俺たちを知ってか知らずか目の前には現れず、ただ俺たちは目の前の普通乗用車や観光バスが流れていくのを眺めていた。
「移動しないと、タクシー来ないのかな?」
「さぁ、分かりません」
なんで、タクシーが来ないんだろう。本当に良く分からない。
鈴木さん、一時間ずっと話もしてくれないし、本当に怖かった。タクシーが来るまでこれが続くと思うと、本当に……
「―――おーい!」
大通りを僕たちが見ている右側で、声が聞こえた。そして、クラクションを鳴らして俺たちを呼んでいる。
「おぉ!」
偽美希は雄たけびをあげ、そっちの方へと走っていった。
「俺たちも行きましょう!」
「そ、そうだな」
偽美希がいきなり雄たけびを上げて、いきなり走りだしたことに少し鈴木さんは驚いているようだけれども、そんなことを気にしている必要はない。
偽美希を放っておいて、いいことなんてあるはずがないからな。




