百六十一巻目 朝食をとるのにこんなに疲れるのは
明日、特別編も書くので、少し量が少なくなっています。
まぁ、いいでしょう。
「お客さんであっても、なんでこんなところに来てるんですか?」
凜監督は、呆れた顔で鈴木さんに言う。
鈴木さんは笑いながら「おいしいからに決まってるじゃないか」と言った。
「……」 監督は黙ってしまった。
「まぁ、いいです。さっさと食べちゃってください。生贄君も、休日なんだからせんせ……鈴木さんにかまう必要はないからね」
「構ってもらっている自覚はあったけれども、言われるとなんだか不思議な気分になるね」
「なにが不思議な気分ですか……」
そういって、凜監督は厨房に戻っていった。
「さぁ、生贄ボーイ。さっそく食べようじゃない……あれ?」
「?」
鈴木さんの顔が変な顔になって、言葉も疑問形に変わったのでどうしたのかと思った。
「生贄ボーイ。ここにあった食事はどこに……?」
「えっ?」
食事という言葉を出してきたので、下を向いてみるとさっきまであったおいしそうな食事が、なくなっていたのだ。それも、鈴木さんと俺の分が。
「なんで……えっ?」
「分からないよ。なんとも奇妙なことだなぁ……美希君はどうだね?」
俺は困惑している。だから鈴木さんは美希(偽美希)に聞いてみた。
すると偽美希は「おふぅ?」と変な声をだした。よく見てみると、彼女の腹は妊娠した見たいに膨らんでいて、口元にはコメが一粒ついていた。
「美希君。その、腹は一体?」
「食事をした後だから、腹が膨らむのは当然だ」
「食事をした後か……」
どうやら、あの短時間の間に偽美希は蘇り、誰にも気づかれないうちに食事を三人分とったのだ。すごすぎるよ。
「……生贄ボーイ。さすがに、美希君すごすぎないかい?」
「そうですよね……」
鈴木さんも、偽美希の食べっぷりに引いていた。
「あれ? 三人とも食べ終わったんだったら、お会計しちゃってくださいよ!」
「えっ、いや凜君……」
「いや、とかじゃなくてはやく払ってくださいよ!」
「……」
どうやら俺は、ここでは朝食をとれないらしい。
「せっかくだ生贄ボーイ。場所を移して朝食と話をとることにしよう」
はぁ……。もうやだよ……朝食をとるのにこんなに疲れるのは。




