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信長さん  作者: はいむまいむ
第一章 信長、現代に来る
17/358

十五巻目 ・・・なんとなくよ

※※※※

「・・・というか、どうしてそんな恰好をしているんですか?」

冷静なトーンで、女に語りかける。

「なにか変かしら?」

「変っていうか、どこで着替えたというか、いつ着替えたというか・・・」

「そんなことは気にしなくていいのよ!」

「でも、なんで白装束なんですか?」

「・・・もう、人生をやめるからよ」

そういうと、女はまた泣きだしてしまった。今度はさっきよりも大きく、さっきよりも激しく涙を流し始めた。


「なんで人生をやめる必要があるんですか!」 強い口調でたずねる。

「ひっ!?」 女は驚いてしまった。その驚きによって、涙は乾いてしまった。


「す、すみません。少しカッとなってしまいました」

「いや、たぶんそれが普通の反応よ」

女がそう答えた後、ジョンは一度深呼吸して女に尋ねた。

「正直に話してください、なぜ死ぬ必要があるんですか?」


そして、女はこう答えたのだった。

「・・・なんとなくよ」 と。


※※※※

まだ帰ってこないな・・・。えーっと、この角ばった形に縦棒が入った形同士を組み合わせると、これの頭ができるんだな。そして、ちょっとだけ飛び出ているところをやすりで削ってあげれば・・・。

「出来た!」

ようやく頭が出来上がった。時間は・・・一時間もたっているのか、もう。



「早く帰ってこないかな・・・」


そういえば、ここに塗装をするって書いてあるけれども、どうやって塗装すればいいのかな。まぁ、絵に関しては俺はまったくもって知識がないわけだから、とりあえずジョンが帰ってきたら聞けばいいか。

じゃあ、なおさら早く帰ってきてほしいな・・・。


※※※※

「なんとなくで死ぬ必要がありますか!」

「ご、ごめんなさい」

信長のいない外では、ジョンが女に説教をしていた。


「第一にですね、あなたがやったことはもう、この世界では過去のことなのです」

「はぁ」

女は地べたに正座をして、ジョンをみている。

「過去をいくら見返したところで、未来は変わりません」

「・・・はい」

「第二に、ノブはそんなに気にしていないと思いますよ」

「えっ?」

「ノブは気にしていないと言ったんですよ」

「気にして・・・いない?」

ジョンは頭をぽりぽりと掻き、「はぁ・・・」とため息をもらした。


「ノブぐらいの度量があるならば、あなたに恨みなどはないでしょう」

「ほ、本当ですか?」

「多分・・・」

「・・・うぅ」

また、女は涙を流してしまった。


(まぁ、もしかしたら殺したいほど憎んでいるかもしれませんけどもね・・・・)

「とりあえず、ノブのところに戻りましょう!」

「ひゃい!」 鼻水交じりに、女はそう答えた。


※※※※


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