百五十二巻目 動く春画
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とりあえず昨日の夜は寝た。
今になってから考えたけれども、この偽美希も容姿は女なんだからもう少し気を使わなければいけないな。だけれども、女にそこまで接したことがないし、接した女っていうのも大体が帰蝶ぐらいだったしな。
結婚した理由っていうのが、あれだったからそこまで楽しいこともなかったし、そんなにしっかりと考えたりすることもなかったな。
「信長様」
こっちの時代に来てからは、美希とか仕事とかでいろんな女とあうようになったけれども、やっぱり一番気になるのは美希なんだよなぁ。あの容姿。本当に素晴らしい。
俺が元の立場に戻ったら、真っ先に褒美を与えたいぐらいだよね。それこそ、みっつーにあげた三日月とかをね。
「信長様!」
だけれども、いまだ元の時代に戻ることはできないみたいだし、ジョンが何か鍵を握っていることはわかったけれども、たとえ元の時代に戻ることができたとしても、俺はすぐに元の時代に戻るのかなぁ? たぶん戻らないと思うんだよね。
だって、こっちの方が文化は多様になっているし、まさしく俺が思い浮かべていた南蛮の街の景色が広がっているしね。いや、南蛮の街以上の異世界の街並みのような感じがね。
クーラーとかもすごいし、電車や車だってすごい。誰もがそこまでの力を必要としなくても、しっかりと対等にいろんな人と話すことができている。インターネットていうのも本当にすごい。
俺のことを女体化させたり、男同士の絡みに使うのはあまりうれしくはないけれども、俺のことを知ってくれていることはうれしい。インターネットがあるからこそ、俺の人気を知ることができた。元の時代に戻ったらとりあえずインターネットはしっかりと広げなければな。
「信長様! 聞いておりますか?」
「えっ?」
悶々といろんなことを考えていた時に、どうやら偽美希は俺に話をかけていたらしい。まったく気づかなかった。
後ろの方から偽美希の声が聞こえたので、後ろを振り向いてみると、偽美希は下着姿で正座をしてるではないか。
そして、俺に向かって礼をして「おはようございます、信長様」と言ってくるもんだ。
今の時代でいう動く春画でこの姿を流せば、必ずや一位をとれるであろうこの状況。もし、この人が偽美希でなくて、本物の美希だったら速攻で抱き付いていたかもしれないけれども、やっぱりそれはやめておいた。
もし、何かあったら美希に示しがつかないからな。




