百三十九巻目 車です!
ポケモンGO面白いですね。
いいですよね、ポケモンGO。
夏の時期じゃなくて、秋の時期に配信してくれればよかったのに……。
「その歪みの原因とは……」
「歪みの原因とは……?」
神様が神妙な表情をしてそう聞く。あの人も俺も同じく神妙な顔をしてジョンの顔を見つめる。
そして、その顔にこたえるかのようにジョンが言葉を言おうとしたその時だった。
『―――ジョ―ン―――聞こえる……か?』
研究所にノイズ混じりの大きな音が響き渡ったのだ。
「―――? なぜ、非常用のスピーカーが作動しているんですかね?」
ジョンが驚いた表情を浮かべて音がなったと思われるスピーカーを見ている。
非常用のスピーカーが作動していることがどうやら驚くべきところらしいが、残念なことにこの研究所のシステムを理解していない俺にとっては良く分からないことだった。
「とりあえず、説明は後にします。非常用のスピーカーがなっている理由は分かりませんが、なっているということはいくらあなた方でも、この研究所には居ることはできないんですよ」
「でも、さっき俺たちが侵入したときは大丈夫だったじゃないか?」
「それは仮の非常用スピーカーです。いくらこの研究所がテロなどを受けたとしても、情報を外に漏らさなければいいんですから、爆発だとかガスをまくとか、そういった対応はとれるようになっているんですよ。ただ、本物の非常用のスピーカーになると話は別です」
「……そうなのか?」
「そうなんです。諦めてください。というか、この状態であなたたちをここに置いておくと、私のお給料が減るどころか、最悪免職になりかねないんですよ。ここはどうか、私の職のために外に出ていってはくれませんかね? 美希については、必ず救出しますから」
「……お前がそれだけ必死に出て行けというんだから、そう言うことなんだろうな」
ここまでジョンが必死になるということは、何かやばい状況に陥っているということだ。免職になりかねないからとかそういう部分は少しでも場を和ませようとするジョンの優しい心遣いと受け取るけれども、それにしてもジョンの様子がおかしいことは事実だ。
美希のことを救出するとかかなり気になることを言っているけれども、とりあえずはこの研究所から出ていくことにしよう。
――――
ジョンを置いて、神様、俺、あの人は三人で外に出ることができた。かなり急展開すぎるけれどもそうなったんだから仕方がない。
あの人というのもあれだからとりあえず、あの人に名前を聞いておこうと思い
「名前は何?」
と、聞いてみるとあの人は
「信長様にわたくしのような私の名前をお教えしたくございません!」とかなり明るい顔で言ってきたので、とりあえずは姿は美希に似ているので「偽美希」と呼ぶことにした。
「そう言えば、生贄殿」
神様が俺に聞いてくる。
「何がですか?」
「いや、ステージって今日もやるんでしょ? なら、時間のほうまずくないですか?」
「あぁ……神様、車を秋葉原まで飛ばしてもらえますか? とりあえず美希っぽいものは手に入れたわけですし」
「そうですね……偽美希さん!」
「ん?」
なんでかわからないけれども、偽美希は外に飛んでいた白い蝶をにこやかに眺めていた。いつもの美希であれば可愛いと思うようなしぐさだが、どこか偽美希には色気があるように見えた。
「とりあえず車に乗ってください!」
「は?」
「車です! くるま!」
「車ってなんだよ?」
「何を言うんですか? 車を知らない人がこの時代にいますか!」
「俺を愚弄する気か!」
あぁ、このやり取り……なんだか懐かしいなぁ。
ただ、早くしないと無断欠勤扱いになって今日分の給料がなくなってしまうよ……。
たぶん次回で今の章が終わると思います。
その次の回からは新しい章に入ります。
その間に特別編を入れたいと思います。
たぶん。




