百三十九巻目 そう言うことにしておきましょう
「だけれども、一つだけ聞いたことはあるんですよ」
俺が少し神様に呆れていると、その様子を察した神様が言葉を言ってきた。
「聞いたことがある?」
「はい。前にも、この施設が国の支配が及ばない施設だと言いましたよね?」
覚えていないということは隠しておこう。俺は神妙な顔をして聞いてみる。
「その支配が及ばない理由というのは、この施設自体が本来は存在しないからなんです」
「はぁ?」
神様……頭がおかしくなったのか?
「神様、疲れてるんですか?」 思わず、聞いてしまった。
「いや、疲れてないですよ! 嘘だと思うんだったら、妄想話と思って結構です」
本当に、大丈夫なのだろうかね。
「本来は存在していないという理由や、そんな噂がなぜ流れているか詳しくは分からないんですけれども、それにしてもこの施設というのは地図にも書かれていないし、研究所としても登録されていないんですよ」
「へぇ」
「だけれども、私が思うにこの施設というのは未来を作っている施設だと思うんですよ」
どうやら、神様は何が何でもこの結論に結び付けたいようだ。
神様が言うに、なぜそんな結論になったかというのは二つあるらしい。
一つ目は、本来存在していないというところだ。普通の研究所であれば、一般市民に公開しても何ら差し障りのない実験をしている場所だけれども、この施設が隠されているというのは、存在を知られてはいけないという理由があると思うかららしい。
二つ目は、国の支配が及ばないという事はやはり何か超次元的なことが起きているという事が考えられるからだ。実験も隠されているし、存在全てが隠されている。
もし、国の支配が及ぶのであれば仮の姿を公開しているはずだ!
だから、この施設というのは現代人が知ってはいけない情報、未来について調べたり作っている研究所に違いないということ……らしい。
「神様、こじ付けもいいところですよ」
「ダメですかね?」
「ダメです!」
「まぁ、そう言う考え方もあるということですよ」
「……とりあえず、そう言うことにしておきましょう」
そんな話をしてると、ジョンがいつもの恰好をしてここに戻ってきた。




