百三十七巻目 俺の名前は言ったことないな
「くそ……。この俺がそんな風に言われるなんて」
「そのお前が全部悪いんだけれどもな」
あの会話の近くに近づくといろいろと厄介だと思うし、私が何ものなのかわからないし、私もこの時代がどういった時代なのか全く分からない。だから余計な混乱を生まないためにも、避けていかなければ……。
「あれ? そこに人がいねぇか?」
えっ? 私のことじゃないだろ。 だって、私からはそっちのほうは見えないし……。
「あら、ほんまや。女が見えるのう」
「わいは、お前と違って嘘はつかんからな!」
「なんやと!」
やだなぁ。なんか喧嘩をしているし、私も姿が見えているらしいし、このまま戻るわけもいかないし……どうしよ。
※※※※
「信長様、どうして、このようなところに?」
「えっ?」
美希のような姿をした人は、どうやら俺のことを知っているようで、名前にわざわざ様をつけて言ってくれる。少し気分がいいな。
だけれども、いったいこの人は何者なんだろうかな? 確かに美希のような姿をしているけれども、俺のセンサーがこの人は美希ではないと知らせてくる。このセンサーは自分の部下よりも信用できるセンサーだ。だから、このセンサーが違うというのであれば、違うんだろう。というか、信長様と俺のことを呼ぶ、この人を見ながら神様はなんだか変な顔をしていた。そして、神様はその人に向かって「信長様っていったい誰のことですか?」と聞くのだった。
そういえば、神様に俺の名前言ったことないな。




