十三巻目 信長ジョーク
「遅かったじゃないか」
まったく、君たち二人が外に出ていっている間に本を読破してしまったじゃないか! 娯楽がまた一つ消えてしまったよ・・・。
「すみません、ノブ」
「いや、怒っているわけじゃないんだけれども・・・」
「とりあえず、改めて紹介しますね。早く来てください!」
そういえば、まだあの彼女が来ていない。一緒に来ればいいのに、なんで来ないのだろうか。実は仲悪いのかな? そうだったら、俺どういう風に対応すればいいんだろ。
「いや、別に仲が悪いとかそういうわけではないですから」
「そう、それならよかったよ」
じゃあ、なんで一緒に来ないんだろうな・・・。
十分間ぼーっとした。十分間ずーっと、ぼーっとしていた。
俺、こんなにゆったりしたことあったのかな。今思えば、戦っていた時はいろいろと早く決断しないといけないからさ。こんなにゆっくりすることは絶対にありえなかったな。
だけれども暇っていうのも、ありすぎるのも嫌なものなんだな。それにその暇な時間っていうのが人を待つ、それもすごい美人を待つということになると、それはもう永遠よりも長い時間に感じるんだよね。分かる? 俺の気持ち。俺の気持ちがわかるやつは、天下取りに向いてるよ。でも気を付けろよ、天下取る寸前で燃やされちゃうから! あっ、今の信長ジョークだからいつでも使っちゃっていいからね。ね?
はぁ、ジョークをいうのも疲れたよ。どうせこの考えてることもジョンにはわかっているんだよな・・・。
「・・・」
あれ?ジョンが無言だ。いつもだったら、「そのジョークはあまり面白くないですね」とか「疲れているのであれば、寝ればいいじゃないですか」とか言うはずだ。これは、確信を持って言えるよ!
「何が確信を持って言えるのですか?」
なぜ、その部分だけ聞き取っているのだろうか? 聞き取れない部分とか、そういうのとかあるのか? そういうご都合主義なのか? 訳が分からないぜ。
「・・・お待たせしました」
とてつもなく震えた声が部屋の中に響く。




