百二十八巻目 本当の世界とは
いったいどうなっているんでしょうね。これは本当にどういうことでしょう。
確かに美希は戦国時代からやってきて、色々と転送に失敗してあんな感じになっていますが、まさか、こんな風になってしまうとは思いませんでしたよ。
というか、これはどういう状況なんでしょうね。説明書を見ても、こんな状況になってしまったときの対処法なんて書いていませんし、教練学校でもこんな時のことを教えてくれはしませんでしたよ。
「はやく、言え。お前は、いったい誰だ?」
それにしても、この人はいったい誰なんでしょうか。というか、転送されたんであれば、ここにいていいのは美希とは姿も形も違う人でなければおかしいんですけれどもね。
なぜ、美希と同じ声色と姿をした別人がここにいるんでしょう。
一体、美希はどこへ消えてしまったんでしょうかね。
※※※※
「さて、これで大丈夫でしょう」
防護服の展開を仕終わり、神様がそのなんだかごつい防護服を着用して、俺に笑いかけかける。というか、なんでこんなにもごつい服を着る必要があるんだろ。前、なんか言っていた気がするけれども、そこらへんは気にしないでおこう。
「生贄殿、少しばかりここで待っていてください。さっさと作業をして戻ってきますから」
どうやら、あの防護服は作業をするためのもののようだ。
まぁ、そうじゃなきゃあんなに面倒なものをこんなところにもっては来ないだろうな。
今回はピッキングとかそう言うのはやめてほしいものだ
神様は車の中から赤い箱を取りだして、この前ピッキングをしていた場所に向かっていった。
あぁ、またピッキングをするのかと少し落胆してみたけれども、今日はどうやら何かが違うようだ。この前ドアのカギの部分をカチャカチャとやっていたのに、今日は簡単にドアノブをつかんでいるじゃないか。そのあとどうするのかと見ていると、そのまま直接中に入っていくじゃないか。
あんまりにもすごいことをやっているもんだから、俺、びっくりしちゃって何も出来ずにそこに立ち尽くしていたよ。
それで、何分間か待っていると、神様がその扉から出てきて、「準備が整いましたよ!」と言ってきて、「こっちに来てください!」とのことなので、俺は神様のほうに行くことにいした。
※※※※
「とりあえず言っておきますが、私は怪しいものではありません」
「嘘つけ。南蛮人はそうやって騙そうとする」
「まったく……」
南蛮人と私の事を言ってくるところから考えるに、この人はとりあえず日本人で、それも江戸時代よりも前の人間の人ですね。
「私の名前はジョンタイターです。アメリカの素晴らしい出来た人間なので、安心してくださいね」
とりあえず、こうやって自己紹介をするのは人間の道理ですからね。
「そんなことはどうでもいい」
「なんと」
自己紹介をして、ここまで言われたことは生まれて初めてですよ。本当にびっくりですよ。
「いいから答えろ、南蛮人。ここはいったいどこなんだ。ここはなんか違った空間なのか? なんだ、いったい何なんだこの部屋は!」
うーん、意外と冷静な判断ができる人ですね。ただ、この人の口調は男のような口調ですね。
本当の世界、元々いた時代では、きっと美希と同じ男だった人でしょうか……これは調べる必要がありますね。




