百二十七巻目 誰だかが分からないんですよねぇ
少しばかり最近短めになっています
許してください
「というか、ここってもしかして……」
「おっ、そこに気が付くとはさすが生贄殿」
ここって、俺の記憶が正しければ……というか神様のリアクション的に確実なんだけれども、前に神様がピッキングをしようとして断念した場所だ。
もう二度とここには来るまいと思っていたけれども、まさかこんな形でここに来ることになるとは思っていなかった。
というか、なんでこんな場所に美希がいるんだ?
「今回はこないだみたいな、こそ泥のような真似をしないでいいように防護服も持って来ましたし、さっさとリーダーを救出しましょうね!」
やっぱり神様自身もこそ泥のようだという認識はあったのか。その認識があるんであれば、まだ神様は大丈夫だろう。
「それでですね、生贄殿」
「はい?」
神様が頭をポリポリとしながら俺に言ってきた。
「防護服を展開するのに、一人だと面倒なので手伝ってくれませんかね。これは試作品なので、ちょっとばかり保存容器が固くなっているんですよね……いや、いい訳をするわけじゃないんですけれどれもね……」
どこら辺がいい訳なのかは分からなかったけれども、なんだか照れくさそうに言っていたからあまり深く突っ込まないようにしよう。
「展開しなければ何も始まりませんよ、生贄殿。さっさと、防護服を展開しちゃいましょう!」
「はい!」
まぁ、色々と気にかかることはあるけれども、防護服? を展開しない限りは何も始まらない。神様が言っている通り、さっさと展開? をしよう。
※※※※
「美希?」
「えっ?」
「えっ?」
あれ? おかしいな。美希であればこんな風な反応をするはずもないし、演技をできる体質でもないしな……。しかし、姿や声色は美希そのものだしこんな風に反応するのは何だか君が悪いというか、何というか、分からないな……。
「美希とは、いったい誰なんだ? というか、ここはどこだ? それに、お前は誰だ?」
と、言われましても私にはあなたが誰だかかが分からないんですよねぇ…………。




