百二十四巻目 サンプルか……
色々と忙しいので、今日は前編ということで短めに書きました。
あと、なんだか投稿するときのページが変わっていてちょっと驚きました。
「私が今からあなたに対して行う実験は、時間移動に耐性がない人間が時間移動をしたらどうなるかという実験です」
「時間移動に耐性がない? それってどうやって判断したの?」
「あなたは、自分に耐性があると思ってるんですか?」
「いや、そういうわけじゃないけれども……」
単純に、どうやって判断したのかを知りたかっただけだ。
「私が、駅であなたを眠らしたじゃないですか」
「やっぱり、あんたが私を眠らしたのか」
「そうですよ。それで、この研究所に連れてきてすこしだけ髪の毛を一本だけ抜いてテスターにかけたんです」
「テスターとかあるのか……」
「それぐらいは未来じゃ当たり前ですよ。アレルギーとかもありますし」
アレルギーっていったい何だろう。
…………というか、
「というかさ、そういうテスターがあるんだったら、その実験必要ないでしょ」
「まぁ、そう思うのが普通ですよね」
「うん」
「ですけども、そのテスターの機会の実証実験と言ったら話が違ってきますよね?」
「?」
なんか、分からなくなってきたぞ。
「じつをいいますと、今未来で使われているテスターというのは、実証実験なしで使われている、いわゆる信頼の信頼で成り立っているものなんですよ」
「へぇ」
「だから、実証実験をして、そのデータを利用してテスターを確実なものにしたいらしいんですよ」
「確実なものにねぇ……」
どうやら、私はその実証実験のサンプルとして使われるらしい。
サンプル……か。サンプルという響きは、なんか嫌だな。
※※※※
「時に生贄殿」
神様が、俺に話しかけてきた。
「なんですか?」
「生贄殿は、時間移動というものを信じていますか?」
「時間移動……」
まさしく、時間移動をしてこの時代にやってきた俺にとってその質問は答えが決まっているのようなものだ。
神様は続ける。
「普通の人であれば、時間移動というのはSF、つまりはフィクションの中にのみ存在する夢の話のようなものだと考えるでしょう」
「はい」
「ですがね。その、時間移動というものが可能になればこの世界の歴史そのものをまさしく変えることが出来るんですよ」
「はい」
神様が歩きながら語りだしてしまった。
「もし、我々が時間移動をできれば、我々は未来人、あるいは過去人としてほかの時間に移動ができるんです。SFの世界ではこれを自由に行き来することができますが、現実ではそう簡単にはいきません……」
神様はやけに笑顔だ。
「あのですね、一つだけ私には夢があるんですよ」
まるで少年のような笑顔で俺に言ってくる。
「私、専門が機械工学なのであまりこう言うのはあれなんですけれども、一番好きなものが戦国時代でしてね……」
「はぁ」
「戦国時代はいいですよ。日本の歴史の中でも一番面白い時代です。日本の中であんなことが起きていたと思うと興奮してきますよ」
「そうなんですか」
「それでですね、もし時間移動が実現すれば会いたい人が一人だけいるんですよ」
時間移動を利用して会いたい人か……俺には想像できない考えだな。
「会いたい人って誰なんですか?」
「本当にありきたりな人物ですよ?」
「ありきたりな人物……たろ、武田信玄とかですか?」
「いや、もっと有名というか、なんかすごい人ですよ」
太郎以上にすごい奴か……。
「私はですね、もし時間移動ができるようになったら真っ先に戦国時代に飛んで」
「飛んで?」
鼻息を荒くしながら神様は言った。
「本能寺にいる織田信長に会いに行きたいんですよ」
後編は来週の火曜あたりに投稿できればいいなと思います。




