十一巻目 美しい女性
「う~ん。まだなのか?」
「もう少しだと思いますよ」
あれから時間がかなりたった。化粧というのは時間がかかるんだな・・・。
「いや、もう化粧は終わったと思いますよ。彼女はそこまで化粧に執着する人間ではないですから」
現代では化粧に執着する人間がいるのか。
「はい、執着する女性はいますね。おおむねそういう女性の顔は化粧する前と後では、全く違う顔ですがね」
「へぇ~。なんでジョンは俺の心が読めるんだ?」
「それは、秘密ですよ」
ジョンはにんまりとする。まぁ、いいだろ。
「お待たせしました!」
元気がいい声がする。その声に俺はぞくぞくっとしてしまう。ついに、お土産と会うと気がやってきたのだ。今まで生きてきた中で、こんなにもぞくぞくしたことがあっただろうか!
戦いの時でも、こんなに興奮することはなかった。ジョン、本当にありがとう。本当にお土産を持ってきてくれてありがとう!
ガラガラガラ
扉を開ける音が聞こえた。
そういえば言っていなかったが、俺はこの時代に来て驚いたことがある。それは扉についてだ。はじめてカフェに行ったあの時、あの時はまだ混乱しつくしていて気づくことはできなかったけれども、今思い出してみると俺はものすごいものを利用していたんだと気づくことがあったんだ。
それは、“自動ドア”というものだ。この自動ドアというのは人が勝手に近づくと勝手にドアが開くのだ。この自動ドアがもし戦国の世にあったのなら、ものすごく利用されるんだろうなーと考えてしまった。だれか発明してくれないかな。
開ける音のほうに顔を向け、目線を向けてみれば、なんとそこには
「お待たせしました」
「遅すぎますよ。ねぇ、ノブ?」
「お、おう」
視線を向けた先には、光輝いたオーラを身にまといもしこの人に何か誘惑され酔うものなら、どんな男でもいちころだろう。
簡単に言おう。美しすぎる。美しすぎる、女性だ・・・。
「ノブ、どうですか?」
「おう」
「おう、といわれてもちょっと良く分からないんですけれども・・・気持ちは分かりますよ。たしかに彼女は美しい・・・」
「今私は、褒められているんだよね?」
「もちろんですよ」
はじめて俺は、ジョンのことをうらやんでしまった。
「ところで、こちらの方はどなたかしら?」
その女性は、ジョンに俺のことを聞き始めた。
「あぁ、彼は織田信長。過去からやってきた私の友人ですよ」
ジョンよ、そんなことを言ったところで誰も信じないと思うぞ。と、とりあえず嘘でもいいから自分で自己紹介をしなくては・・・どうしたのだろうか。なぜそんなにおどろいているのだろうか?
「どうかしましたか?」
ジョンは女性に尋ねる。だけれども、女性は口を開けてあわあわと驚いているではないか。
どうしたのだろうか?




