百三巻目 俺の唯一の楽しみだよ
会話を終えた後、なんでジョンはあんな性格なんだろうかと思いつつ、話し合った後電話口の向こうがガサガサとうるさいことに、少し気を向けていた。
そして、その気を向けていたことが功をそうしたかどうか分からないけれども、ようやく私が期待していた、この電話の目的だった人物が出てくれた。
「・・・あの、電話を替わったんですけど大丈夫ですか? 信長様?」
このかわいい声がもう彼女しかいないな。かわいいよ、本当にかわいいんだ。
アルバイトを始めて彼女の近くに入れるようになってからも、俺はこの声を聴くたびに興奮する。もちろん、この興奮というのは性的な興奮ではない(多分)。この興奮は、なんというか、その・・・まぁ、言葉では表せないものだ。そういうものだから仕方がない。自然と興奮をしてしまうんだ、理由なんているだろうかね?
「大丈夫ですか?」という天使のような優しさに包まれた言葉は、ジョンによっていろいろとやられた心を癒していき、遂には体力回復をするほどにまでに作用した。
そして、俺の口から自然と「うん、大丈夫!」と元気に言ってしまうほどになった。
これはものすごいことだ。戦場に彼女が一人いれば、どれだけ争いあっている戦場であっても彼女の一声だけで平和に包まれることだろう。
「それはよかったです!」
「うん!」
いや、こんなやり取りが永遠に続けばいいと思うのは俺以外にもたくさんいるだろう。むしろ願うばかりではなくて、もう実現したい。
別にそばに居れなくてもいい。ただ、声が聞こえれば・・・・
こんなポエム的なことを言えるようになったのも、この時代に来てからだ。
いろいろと考えさせられてしまうな・・・。
「で、信長様」
「ん?」
「私に電話をしてきたということは、何か話があるんですか?」
あぁ、どうしよう・・・。話す言葉がないな。
これから考えるか! 色々と話したいこともあるしな。
――――
「それじゃあ、また明日仕事で会いましょう信長様!」
「じゃあね!」
楽しい時間は終わり。遂に、現実と向き合う時間が来た。
はぁ・・・現実とは非情なもので、本当に寂しいよ・・・・・・。
明日ジョンが帰ってくると言われたし、明日仕事だし・・・・・・・・・・・・。
ため息しかでないし、辛さしか残らない。
これが今の現状だ。
とりあえず、今日のところは寝よう。時間はもう十二時を回って三時になってしまった。明日は八時から仕事だから・・・三時間は寝れるな!
彼女に会うことだけが、俺の唯一の楽しみだよ。




