九十九巻目 やっている店は無かったようだ
「それに、ノブと一緒にいるこの人物はいったい誰なんでしょうかね? とりあえず人物参照して見ますか・・・」
※※※※
「次は、カメラを買いに行きますよ! ほら、早く!!」
「・・・はい」
「生贄殿、テンション上げていきましょうよ! イェーイ!」
「い・・・いぇーい!」
はぁ・・・。
バールを買ってからというもの、神様のテンションがおかしくなっている。なんかさっきからものすごくテンションが高くなっているというか、もうあれだね、ジョンと同じようなテンションだ。はっきり言ってうざいんだよな、こういうテンションは。
工具店を出てからは秋葉原の駅前にもどって細い通路を通って、反対側の駅前に出た。人が多いのはさっきまでいた駅前とは変わらない。むしろこっちのほうが多いかもしれない。秋葉原というのはサブカルチャーの発信地でもあるし、交通網的に言うと主要鉄道と地下鉄と、地方都市まで走る鉄道の三社が乗り合わせている駅でもあり、必然と人が多くなっているのだ。それに企業も多く進出しているから観光客以外にも、通勤客、一般の客、企業で働いている人間(俺と同じアルバイター)など様々な層の人間が利用している。
もうすこし、この様々な層の人がいろんなところに分散してくれると助かるんだけれどもなぁ。
駅前の広場にある時計はすでに11時をさしていて、すっかり夜になったといった感じだ。この時間帯にカメラを売っているところがやっているのかは疑問だけれども、神様がこんなにウキウキしているということは、多分やっている所を知っているのだろう。これまた、知ってほしくない情報を知っているものだ。本当に・・・・・・。
「あっ・・・生贄殿」
「はい?」
神様について行き歩いていると、前を歩いている神様が急に止まった。適度に間を開けていたからぶつからずに済んだ。良かった。
止まった神様は、なんか深刻な顔をしていた。すごく悩ましい顔だ。
そして、ちょっと暗い声で俺にこう言った。
「もう、店閉ってる時間ですね」
「でしょうね」
どうやら、やっている店は無かったようだ。
明日は少し長めに書きます。
あと、日曜日は特別編を出したいです。




